その他(アクリル)
2007年07月06日
two places(より「渓流」)
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two places(より「渓流」)
1986
全体は、「竹道」「渓流」の2点組。各103×72.8cm
アクリル絵具、水性ペンキ、パステル、紙、パネル
発表歴:1986 「常設展」ギャラリーアートワッズ(東京)
現存せず(廃棄)
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**日本経済新聞朝刊での
中ザワヒデキの連載「滅失絵画 十選」掲載日と連動し、
「一日一品ブログ」では、
中ザワ作品の滅失ならびに行方不明作品を藤田千彩が紹介します。**
1986年春に行われた、第1回個展である、
「初個展」ギャラリーアートワッズ(東京)で発表した作品は、
4年間描きためたものがほとんどで、赤やピンクを基調とした作品が多いのが特徴だ。
同じ年の暮れに第2回個展である、
「Effie, Madge, Tina, Louise, Betty, Anita」ギャラリーアートワッズ(東京)を行った。
作品ほとんどを新作で発表するために、制作をする時間が半年あまりしかない中で、
中ザワは第1回個展で使った色からの脱却を図ろうと試みた。
昨日も書いたが、この「two places」は、第1回個展と第2回個展の間に描かれている。
当時の中ザワは、画材の研究に余念がなかった。
中ザワが当時気にしていた作家のトゥオンブリーを意識してか、パステルの使用もある。
紫の部分がパステルだ。
第1回個展に見られる赤系色の探求は、
赤の純色ではなく茶色等暗めの中間色を主体に行われた。
本作の赤茶色は、サビ止め用の水性ペンキだという。
本来絵の具としての目的はないサビ止めの水性ペンキのため、
色の美しさより表面の硬さが見えてしまうほうが目立ってしまう結果となった。
また一見黒く見える絵の具は、リキテックスの灰色のひとつで、
より暗い「ニュートラルグレイV3」を使っている。
ちなみにこの「赤茶、紫、濃灰」の組み合わせは、その後の作品にも見られる。
第1回個展と第2回個展の過渡期に描かれたこの作品を失ったことは、
そのプロセスを実証するものがないことも意味している。
作品や作風は突然変わるものではない、と「two places」は私たちに教えてくれている。
2007年07月05日
two places(より「竹道」)
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two places(より「竹道」)
1986
全体は、「竹道」「渓流」の2点組。各103×72.8cm
アクリル絵具、水性ペンキ、パステル、紙、パネル
発表歴:1986 「常設展」ギャラリーアートワッズ(東京)
現存せず(廃棄)
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**日本経済新聞朝刊での
中ザワヒデキの連載「滅失絵画 十選」掲載日と連動し、
「一日一品ブログ」では、
中ザワ作品の滅失ならびに行方不明作品を藤田千彩が紹介します。**
2点で1作品である、「two places」が滅失している。
(今日は「竹道」を紹介、明日はもう1点である「渓流」を紹介予定)
この作品は、1986年の個展「初個展」ギャラリーアートワッズ(東京)で発表した
「竹道」(5月9日の一日一品で紹介)とモチーフが似ている。
本日の一品は、数ヶ月ほど後に描かれている。
というのも、
1986年の個展「初個展」ギャラリーアートワッズ(東京)のあと、
ギャラリーアートワッズから「常設展をするから何か出さないか」という打診があり、
制作されたのがこの作品であったからである。
当時の中ザワは、制作にあたりさまざまな実験を繰り返していたため、
何を考え、どう表現するかという苦悩を作品から窺い知ることができる。
例えばこの作品には、影や煙が描かれている。
この作品発表後に行われた、
第2回個展「Effie, Madge, Tina, Louise, Betty, Anita」ギャラリーアートワッズ(東京)で、
影や煙をつけている作品がいくつか発表されたが、その萌芽が見られる。
若いころというのは、誰しも過ちがあるものだ。
この作品を発表した後、中ザワは「欲しい」という友人に譲渡。
やがてその友人が引越をする際、廃棄されてしまった。
中ザワにも責任がある。
友人の前で「この作品捨てるべきかも」と悩んでみせたのだという。
その友人は、「捨てるくらいなら欲しい」ということだったようだ。
だから一概にその友人を責めるわけにもいかない。
いまとなっては、第1回個展と第2回個展の過渡期に見られる試行錯誤、
作品とみなすものとボツにするものの境目をくり返していた若かりし日々。
7月3日の日本経済新聞「滅失絵画 十選 マティス 大裸婦」ではないが、
残しておくと中ザワ自身の芸術観を疑われかねないという意識が働いたのだろうか。
当時の心情を垣間見ることができる、貴重な作品のように思えてくる。
2007年05月23日
POCARI SWEAT
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POCARI SWEAT
1987
22×16.5cm
アクリル絵具、鉛筆、紙ボード
発表歴:2004 個展「中ザワヒデキの原点展:1980年代アクリル絵画」ギャラリーセラー(名古屋)
個人蔵
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いやぁ、暑くなってきました。
ポカリスエットがおいしい季節です・・・あれ?
中ザワさんがポカリスエットの絵を描いてる。
ポカリスエットと中ザワさんが結びつく思い出があります。
私が美学校へ行っていたとき、中ザワさんを知ることになったのですが、
「方法主義宣言」を読んで、賛成か反対かという議論をするという授業でした。
「よく分からない」と私たち生徒が言うと、
「これはポカリスエットのようなもの」と中ザワさん。
「体にいいと言われて登場したけど、おいしくない(おいしくなかった)でしょ?
方法もそういうもの」
と理屈こねた説明を受けて、ホー・・・と感心したものです。
で、この絵について、
「僕はペンのような硬いものでないと線が描けなかったんだ。
筆のような柔らかいものでは線を描く実感がわかなくて」
と中ザワさん。
つまり、まず下地に黒を塗って、乾いたらその上に白を塗り、
白が乾かないうちに画面を引っかいて、枠の線や数字を描いていき、
さらに白もすべて乾いたあとの画面に、鉛筆で顔などを描いている、
という作り方をしているんだそうです。
「それと、署名が漢字なんだよ。
1983年から中ザワヒデキを使ってるんだけど、
一年くらい本名の中沢英樹に戻したときがあって、そのときの作品だね」
これまた理屈こねた説明で、ホー・・・と感心。
ヒデキって英樹って書くんだ!と妙なところに引っかかってみたり。
ん??そーじゃなくてー・・・、
なぜポカリスエットを題材にしたかってことを知りたかったんだけどな。
ま、いっか。
2007年03月20日
today's fishing
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today's fishing
1985
103×72.8cm
アクリル絵具、針金、導線、S字フック、ビニール、ボール紙、トレーシングペーパー、ホチキス、鉛筆、ガムテープ、紙、パネル
発表歴:1985 第6回日本グラフィック展(渋谷パルコほか)、2000 個展 佐野画廊(香川)、2001 病院ギャラリー(愛媛)、2004 個展「中ザワヒデキの原点展:1980年代アクリル絵画」ギャラリーセラー(名古屋)
受賞歴:1985 第6回日本グラフィック展入選
Courtesy Gallery Cellar
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このブログに掲載する画像は、
中ザワさんが持っているポジフィルムをスキャンしたり、
データをもらって加工したり、
と毎回じつは手間がかかっているのですが・・・
本日の一品は、
藤田「今回はこの黄色い作品でどうですか?」
中ザワ「これは黄色というより、ちょっと緑がかっている作品なんだよ」
パソコン画面ではよく分からないので、ポジフィルムを見たところ、
黄色というより、黄色が多い緑だったのです!
中ザワさんのアクリル絵画に使われている色は、
絵の具のチューブから出したままの色とか、
誰もが「青」だの「赤」だのいえるような色ではなく、
どちらかというと「青と赤の間だけど赤が多い」みたいな、
あいまいな色づかいが多いんです。
私の名前「千彩」も色みたいな名前のせいか、
色って文字通り「いろいろ」あるなあと見てて思います。
そして中ザワさんがコンピュータにハマってからは、
色が数値化されることにむしろ興味を覚えたそうで、
「もう少し緑が多い黄色」とか「青と赤の間だけど赤が多い」とか
そういった表現がなくなったそうです。
で、なんで釣りなんだろ?
という疑問は、いつかまた中ザワさんに聞いてみようと思います。
2007年01月17日
壁の花
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壁の花
1989
29.3×36.4×13cm
木、アルミ、モーター、電池、ギア、スイッチ、アクリル絵の具
発表歴:1989 アートワークス展IV「百花繚乱」ギンザ・グラフィック・ギャラリー、2004個展「中ザワヒデキの原点展: 1980年代アクリル絵画」ギャラリーセラー(名古屋)
個人蔵
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中ザワさんの考え方に「二項対立」というものがあります。
相反しているものを比較する、という考え方です。
作品にも2つのものを並べるというものがあります。
この「壁の花」もそうなんじゃないかな、と思います。
これ、回転するんです。
だから電池が付いてます。
中ザワさんいわく
「工作が下手なため、すごい音がします。
それに驚く鑑賞者がいっぱいいるほど」
だそうです。
音がする花だなんて・・・またまた面白いことする(笑)。
花が揺れているようだねとか、
壁に花って面白いですね、とか思う人もいるでしょうね。
エロおばさん藤田は
「赤と白・・・女と男か?」
と、つい思ってしまうのでした。いかんね。
アートワークス展IV「百花繚乱」(この中に中ザワさんの花が一本あるそうな)