2007年07月

2007年07月31日

「下心90」のためのイラスト(表)

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「下心90」のためのイラスト(表)
1990
推定400×205ピクセル
(株)徳間ジャパン発行「下心90」のCDシングルジャケットに使用された作品
原画データ消失

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クリックして拡大すると、
CG作品なのににじんでいることが分かります。
なぜにじんでいるかというと、CGで作ったものを当時のプリンターで出力してスキャンしたものだから!
そう!これも滅失絵画!
元データがなくなったというCG作品なのです!!

この作品は、徳間ジャパンから出ていた「下心90」という
CDシングルのジャケットに使われたもの。
7月13日に紹介した「human touch」のためのイラストと同じように、
データで作られた作品の管理や保存の難しさを伝える作品です。


2007年07月30日

6枚から成る50円分の普通切手の122通り

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6枚から成る50円分の普通切手の122通り
2001
普通切手、トナーインク、葉書
発表歴:2001 個展「金額(切手)」ギャラリーセラー(名古屋)、2007 個展「切手展」」奈義町現代美術館(岡山)(8月4日〜9月9日開催予定)
Courtesy Gallery Cellar

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中ザワさんから「切手貼りを手伝って」という召集命令が。
今週末から岡山・奈義町現代美術館で、
中ザワさんの個展「中ザワヒデキ 切手展」があります。
本日の一品も展示しますが、
新作がまだ出来上がってないようです。

本日の一品を眺めて、まずは予習。
6枚の切手で50円分になるように考えられた組み合わせをもとに貼られています。
ふむふむ。

中ザワヒデキポートフォリオ 方法第11号掲載「1枚から7枚までの50円分の普通切手の組み合わせ表」 中ザワヒデキ切手展ブログ


2007年07月29日

鳩の目TV19「気がつけば参院選の速報までやったキンキンの不思議」のためのイラスト

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鳩の目TV19「気がつけば参院選の速報までやったキンキンの不思議」のためのイラスト
1995
205×142ピクセル
雑誌「鳩よ!」マガジンハウス 1995年10月号 p.28
Courtesy Gallery Cellar

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参議院の選挙日です。
皆さん、行きます?
私は行けるかどうか微妙です、仕事がたまってて・・・。
投票する場所もよくわかんないし・・・。
今回はすごい興味はあるんですけど。
この不届きモノ!といわれそうですねー。

ところでこのイラストが描かれた95年当時は、
キンキンが選挙速報やってたんですね。
私、選挙権あったはずだけど。
記憶にないけど。
てゆうか、これキンキンなの?

2007年07月28日

1997年1月のまるちめ日記のためのビジュアル

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1997年1月のまるちめ日記のためのビジュアル
1997
480×640ピクセル
雑誌「CD-ROM Fan」 (株)毎日コミュニケーションズ4月号 (vol. 4-4 no. 36) p. 133
Courtesy Gallery Cellar

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中ザワさんから、
まるちめ日記の中に昨日の一品「世界没落体験」の静止画がある、
と言われて見つけました。
あらほんとだ。
動いてない。

動きのあるものを一度見てしまうと、動きのないものってつまんないですね。
つくづく画面をスクロールさせて、昨日の一品を眺めてしまう藤田でした。

2007年07月27日

世界没落体験

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世界没落体験
[ループアニメーション]
1997
480×640ピクセル、0.3秒のループ
発表歴:2007 「DARK SEED:03 明けない夜」すみれの天窓(東京)
Courtesy Gallery Cellar

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う、動いている!
この一品ブログをはじめて半年あまり、
動画作品を初めて動画としてお見せすることになりました。
(これまで動画はワンカットの静止画でしか紹介していなかったのでした!)

いま新宿ゴールデン街の「すみれの天窓」で開催している、
中ザワさんと美術家の前本彰子さんの二人展「DARK SEED 03: 明けない夜」
で、本日この作品の上映が行われます。
(ちなみにこの上映は、「未発表の旧作の初出展」ということになるらしいです。)

最初とか最後とかはありません。
ずーっとこのカラフルなのが流れて、うわー、気持ちわるーい!
・・・まさにタイトル通り「世界没落体験」なのです。

タネを明かすと、なんとこれはたった6枚のGIF画像をつなげたもの。
えー、6枚でこういう動きになるんですか!?
などなど、疑問が沸いた方はぜひ「すみれの天窓」へ!
中ザワさんに直接質問してみるとよいでしょう。
ちなみに藤田は大阪でトークしているため、行けない、くそっ!

2007年07月26日

654個の変曲点のある単一曲線

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より見やすいデータはこちら

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654個の変曲点のある単一曲線
2001
60×200cm
紙、インク
撮影:高木茂樹
発表歴:2001 個展「質量」レントゲンクンストラウム(東京)、2001 個展「金額」ギャラリーセラー(名古屋)、2003 ISCPオープンスタジオ展(ニューヨーク)、2003 個展 ガライアス・ヴィジュアル・スペース(ニューヨーク)、2006 公開制作「脳波ドローイング」府中市美術館公開制作室
Courtesy Gallery Cellar

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「単一曲線」でググってみたところ、

連続実関数x(t), y(t) (a ≤ t ≤ b)を用いて、
複素平面上の曲線z(t)を(1)と定義する。
z(a), z(b)をそれぞれ始点、終点といい、
両者が等しいものを閉曲線という。
a ≤ t < t ≤ bにおいて常に z(t) = z(t)が成立するとき、単一曲線という。

とちっとも何を言いたいのか分からないことが出てきてしまいました。
あせあせ。

中ザワ「これは複素平面内の単一曲線に関する記述で、僕の作品の説明とは違うよ」

???フクソヘイメン??
・・・ともかく、中ザワさんはこうした数式みたいなものを使って、
1つの線を654回曲げてみた・・・というのが本日の一品。

中ザワ「左右の非対称性が出るようにがんばって作ったんだけど」

非対称性をがんばって作ったんですか!?
「中ザワさんの作品ってわかんない」
と言う人がよくいますが、私も理屈は分かりません。
でも、こんな理屈ぬきで、なんで線を曲げたのか、しかも654回って何、
とかいろいろ想像することが面白いと思いまセン?

ポートフォリオ ガライアス・ヴィジュアル・スペース(ニューヨーク)での個展

2007年07月25日

脳内混色絵画 C2M1Y1 #5

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脳内混色絵画 C2M1Y1 #5
2007
71.1×71.1cm
油性溶剤デジタルプリント、合成樹脂、アルミフレーム
発表歴:2007 個展「脳内混色絵画」ギャラリーセラー(名古屋)
Courtesy Gallery Cellar

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今日から29日まで、新宿ゴールデン街にある「すみれの天窓」というお店で、
中ザワさんは美術家の前本彰子さんと
「DARK SEED:03 明けない夜」という展覧会をします。

今回の展示作品は「脳内混色絵画」。
本日の一品が展示されるのかは、行ってからのお楽しみです。
ゴシック調の暗い店内で、キラキラと光っているのでしょうか。
藤田は朝からと夕方からと2つ取材が入ってるため、行けそうにないです。
ぜひ見に行った方、どんな展示だったか教えてください。

中ザワヒデキ 脳内混色絵画



2007年07月24日

378個の同一文字第六番

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378個の同一文字第六番
2002
75.5×55.5cm
リトグラフ
発表歴:2002 日韓現代版画交流展、プリントハウスOM(横浜)
Courtesy Gallery Cellar、Courtesy print house OM

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今日の藤田は某美術館に行くのです。
版画の作家さんのワークショップを取材に行くのです。

あれ?そういえば私、中ザワさんの版画作品っていうの、見たことがある。
中ザワさんをつついたところ、本日の一品を出してくれました。

これは新横浜にあるプリントハウスOMという場所で制作されたもので、
中ザワさんがずっとやってみたかったという、
文字(イメージ)を重ねるという表現をしたものだそう。
デジタルのデータ上での表現では満足できなかったそうです。
アナログの実物だと、重ねられているところは本当にインクがその分盛り上がっているのだそうです。


この一品は「第六番」です。
第一番〜第五番は、中ザワさんの作品集「209個の同一文字第一番〜第五番」に入っていて、
第六番は草間彌生とかチェ・ジョンファとか、
日韓の美術家による版画集Korea and Japanese 10 Print Worksに入っています。

JISコード第二水準表の「水」の部首の最後の文字「灣」を使って、
大きいサイズから小さいサイズまで、重ねて重ねて重ねて・・・るらしいです。
それで、引いて見ると、大きい一文字の「灣」がうっすら見えるのです、なるほど。


Korea and Japanese 10 Print Works、209 same characters No.1 - 5

2007年07月23日

RYUZABURO YORU UMEHARA

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RYUZABURO YORU UMEHARA
1991
428×328ピクセル
発表歴:1991 「Digital Sight」O美術館(東京)、2005 個展「中ザワヒデキの展開
展: 1990年から96年までのバカCG」ギャラリーセラー(名古屋)
Courtesy Gallery Cellar

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中ザワさん、梅原龍三郎が好きっていったじゃないの。
なんですか、これ。

天野一夫さんが企画したO美術館の「Digital Sight」という展覧会の一区画で展示した中ザワさん。
そこに「真夜中の大原美術館展」というタイトルのインスタレーションを行ったそう。
岸田劉生、梅原龍三郎、熊谷守一などの、大原美術館所蔵作品の昼と夜の2パターンのCGで、
それを
1.大きく出力した作品として壁に掛ける(メイン)
2.モニターからはアニメーション作品としてループで流れていた(準メイン)
3.マックとプリンタのセットを置き、観客が自ら出力して持って帰れるコーナーを設置(おまけ)
で展示していたんだって、ふーん。



2007年07月22日

RYUZABURO HIRU UMEHARA

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RYUZABURO HIRU UMEHARA
1991
428×328ピクセル
発表歴:1991 「Digital Sight」O美術館(東京)、2005 個展「中ザワヒデキの展開展: 1990年から96年までのバカCG」ギャラリーセラー(名古屋)
Courtesy Gallery Cellar

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中ザワさん、梅原龍三郎が好きなんですよね。
模写ですか。
ふーん。


2007年07月21日

不良少年のパソコン学第15回「パソコンとグラフィックス」のためのイラスト

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(オリジナルデータサイズ*でご覧ください)

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不良少年のパソコン学第15回「パソコンとグラフィックス」のためのイラスト
1993
4点組 各480×480ピクセル (画像は4点を順番に横一列に並べています)
雑誌「ASAhIパソコン」朝日新聞社 1993年8月15日/9月1日合併号 (no.111) pp.126-129、「不良少年のパソコン学」朝日新聞社 1994年 pp.123-127(単行本にモノクロ図版として掲載)
Courtesy Gallery Cellar

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ときどき中ザワさんがパソコンおたくに見えます。
このイラストのように、色のことを言ってるときとか・・・。
私は普段ウィンドウズでワードさえあればいい生活をしていますが、
中ザワさんはマックでイラストレータだのフォトショップだの画像ソフトを多用しているからでしょう。

なのでこのイラストを見て、初めて「パソコンの色」を知りました。
そんなに違うのね。
そういう意味で違っていたのね。

しかも中ザワさん、
「4コマめなんだけど・・・
 オリジナルでは24ビット1670万色なんだけど、
 この一品用にgif画像にしたから、そういう風にはみえなくなっちゃったんだよね」

ん?やっぱりパソコンおたく?それとも色おたく?
「千の彩り」って字の名前なのに、色には無関心なのです、私。

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*オリジナルデータサイズ=windowsをお使いの方は、画像の上に数秒間ポインタを置くと、右下に拡大表示マークが出ます。それをクリックすると、オリジナルデータサイズでご覧いただけます(禁転載マークは、オリジナルデータサイズでは常に一定のサイズです)。


2007年07月20日

17296枚の硬貨から成る18416円 (金額第一五番)

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17296枚の硬貨から成る18416円 (金額第一五番)
2001
45×60×6cm
硬貨、ポリエチレン袋
撮影:高木茂樹
発表歴:2001 個展「金額」ギャラリーセラー(名古屋)、2001 NCAF(名古屋)、2001 「ダイアローグ2001」カナダ大使館ギャラリー(東京)、2004「財飾兼備−ART&MONEY」ベイスギャラリー(東京)
Courtesy Gallery Cellar

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中ザワさんから
「東京造形大学の清水哲朗ゼミ主催のシンポジウムにゲストで出る」
と連絡が来たので、行って見ました。
清水ゼミの皆さんは仲も良さそうだし、しっかりしてる関係だと思いました。
そこで思い出したのが「友愛」って言葉です。
友情とか、愛情とか、数学とか苦手な藤田にはよく分かりませんが、
2007年1月6日に紹介した220枚の硬貨から成る284円 (金額第一二番)
2007年1月7日に紹介した308620枚の硬貨から成る389924円 (金額第三五番)
で使われた「友愛数」という言葉もついでに思い出したわけです。

今回の作品タイトルに「17296」と「18416」の数字がありますね。
これが何かというと、
17296の(17296を除いた)約数・・・1、2、4、8、16、23、46、47、92、94、184、188、368、376、752、1081、2162、4324、8648
これらを足すと18416になります。
そこで18416(18416を除いた)の約数・・・1、2、4、8、16、1151、2302、4604、9208
これらを足すと17296になるのです。
こういう関係のことを「友愛数」といいます。

やっぱり難しいわ・・・と藤田に、中ザワさんが一言。
「僕は別に友愛数ということが一番言いたくてこの作品を作ったわけじゃない。
 「金額」シリーズの一番め「1107枚の硬貨から成る20523円(金額第一番)」のときは、
たくさんの硬貨を平面に固定して並べてたのだけど、
平面じゃなくても、固定されてなくても、たくさんの硬貨!!
ということが、一番言いたいんだよ。だから袋に入れたんだ!」
え!そういう効果を狙ってんたんだ、この硬貨!

ポートフォリオ 「金額第一二番〜第一八番」組成表

2007年07月19日

エジホン #27のためのイラスト

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エジホン #27のためのイラスト
1994
587×497ピクセル
本「エジホン」(株)飛鳥新社 p.27
Courtesy Gallery Cellar

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今日の東京はちと寒いですけど、海水浴の季節です。
裸足で歩き回ることも多いですよね。

本日の一品はこの作品は「エジホン」という、
絵に同じ漢字がちりばめられているのだけれど、
その中に違う1文字があります。
・・・というクイズ本のようなものに収められています。

よーく見てください。
「足」という字の間に、「虫」という字が1つだけあります。

どこだどこだどこだどこだどこだどこだどこだどこだ?
・・・私も答えを忘れてしまいました。すみません。


2007年07月18日

名画のつづき その6:セザンヌ/静物

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名画のつづき その6:セザンヌ/静物
1991
1580×303ピクセル
雑誌「Tokyo Walker」角川書店 1991年8月6日号 p.87
Courtesy Gallery Cellar

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藤田「青リンゴと赤リンゴって、品種が違うんじゃないんですか?」

中ザワ「え?青リンゴがほっといたら、赤リンゴになるんじゃないの?」

え?ええ??
これ読んで、ますます疑問増すのでした。


2007年07月17日

今月の美術美術学第2講「レディメード」

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今月の美術美術学第2講「レディメード」
1991
591×1440ピクセル
雑誌「GOMES」PARCO 1991年3月号 (no.23) p.9
Courtesy Gallery Cellar

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レディメード、既製品を使ったアート、ってことですね。

デュシャン好きな人を中心に、美術専門用語としては普通に使いますね。
「デュシャンて何?」っていう世の中のほとんどの人からすると、
「レディメードって何?」って感じでしょうか。

アパレル界でも、オーダーメイドの逆に、既製服って意味で使われたりしますが、
いまはどっちかっていうと美術専門用語なのかな?

そういえば、昔英語が達者な人に、
「ワークショップって何屋さん?」
って聞かれたことがあります。
これも美術専門用語の部類なんでしょうか。

「美術専門バカになりたくないなあ」と思う藤田は、
この秋創刊の女性誌のアート欄原稿を書き上げるのでした。
あ、今日発売の美術手帖、
美術館に付いてるレストランの部分書いてます。
美術ライターっていうより、グルメライターな感じです。
画材屋さんとかも取材したから、やっぱり美術ライターですけど。
ぜひ読んでくださいね。


2007年07月16日

ハナイチモンメ(大ボケツ第二番)

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ハナイチモンメ(大ボケツ第二番)
1990
369×517ピクセル、93.5×130.7cm(注)
紙にデジタルプリント、スチレンパネル、カンバス(注)
発表歴:1990 個展「大ボケツ」HBギャラリー(東京)、2000 個展 佐野画廊(香川)、2001 病院ギャラリー(愛媛)、2005 個展「中ザワヒデキの展開展: 1990年から96年までのバカCG」ギャラリーセラー(名古屋)
Courtesy Gallery Cellar

(注)この図版はオリジナルデータだが、
   展覧会ではオリジナルプリントを出品している。
   上記サイズ(cm)、素材表記はオリジナルプリントについてのものである。

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大地震が起きましたが、海の日です。
中ザワさんの作品で、海といえば、この「大ボケツ」の作品でしょう。

と思って、
一品ブログがはじまったばかりの
1月10日に書かれた「スイカワリ(大ボケツ第一番)」を読み直しましたが、
我ながら作品の説明が理解しにくい文章を書いててびっくり・・・。
(しかも3月2日の「SELFPORTRAIT-SUMMER '90(大ボケツ第三番)」にいたっては、
作品の説明じゃないし!!)

なので改めて、中ザワさんにヒアリング。
藤田「なんで今日の一品には『禁転載』があって、
『スイカワリ(大ボケツ第一番)』

『SELFPORTRAIT-SUMMER '90(大ボケツ第三番)』
は違うんでしょうか」

中ザワ「これらは全部データで作ってて、
今日の一品はそのデータそのものだから『禁転載』が貼ってあるんだよ。
これまで紹介した作品は、
展覧会で展示するという目的のためにプリントアウトしたものを撮影した写真を
スキャンした画像です」
なので、
展示したときの素材が「紙にデジタルプリント、スチレンパネル、カンバス」になっています。

中ザワ「大きくすればするほど面白いだろうと思ったんだ。
色があせてしまう染料インクの出力ではなくて、
黒いフィルムのようなものの黒部分だけが転写される、というような出力方法だった。
プリンタはA4までしか出力できなかったから、
少しずつの部分ごとに出力して、それぞれスチレンパネルに貼り、周囲を切る。
そのスチレンパネルを100号サイズのカンバスの上でつなぎあわせて貼って、
大きな一枚の絵に仕立て上げ、大ボケツ展に出したんだよ」

最初に発表した大ボケツ展のあとは、
カンバスの木枠を外して、ほったらかしておいたんだそう。

中ザワ「作品をむき出しで家に置いていたら、
ホコリなどのゴミが付着してしまった」という状態で、
一時は捨てようか、とも思ったらしい(って滅失絵画じゃん)。
それは、「出力したものを作品とするか、データ自体を作品とするか」
という考え方に拠ります。
中ザワ「感情的には捨てたくないが、
データ自体を作品とするという理論を言うのだったら、
この作品を捨ててもよいのではないか」と悩んだそうです。

でもその後、きちんと保管することを決めた中ザワさん。
サイズとしてはカンバスのほうが出力したものより大きかったので、
ふちというか周りのカンバス地を切り取って、
サイズに合わせた木枠をつけて、保存をしているんだそうです。

藤田「なんで海なんですか?スイカワリとかハナイチモンメなんですか?」

この個展を開催するにあたり、
CGをするということ自体が、実は的はずれ的な事態なのでは?
という問題意識を感じた中ザワさん。
それを自覚的かつ自虐的に演出してみせたいと思ったそう。
冬に行った展覧会だったので、
「冬なら冬のものを出す・・・じゃなくて夏のことかよ!」
「何考えてるか意味ワカンナイ」
「この人ちょっとどうかしてる」
という感を狙ったテーマ設定だったんだそうです。

それと、当時あったシミュレーショニズムという考え方も関係しています。
例えば、日比野克彦がグラフィック展で大賞をとってデビューした作品は、
“本当の飛行機”ではなく、“おもちゃの飛行機”だったというように、
あるいは、
YMOの音楽は、
“インベーダーゲームの音響みたいなものを、わざと、敢えて音楽として提示する”
というように、
本物じゃないもの、ゲームのような架空のものを表現することが、
問題意識としてあったらしい。

そこで中ザワさんは、実際にはないけど、
コンピューターゲーム「スイカワリ」とか、
コンピューターゲーム「花いちもんめ」とか、
もしあったらば、
と空想したその架空のゲームの画面を絵としたということになります。

ちなみに「SELFPORTRAIT-SUMMER '90(大ボケツ第三番)」は、
当時ノートパソコンとかなかった時代だったけど、
「海辺でノートパソコンを使って自画像を描く」というシチュエーションがあったら
・・・ということで出来たものなんだそうです。

・・・いずれにしても、おつかれSUMMER、ですね。


2007年07月15日

鳩の目TV10「迫真の臨場感にBBCの底力をみせつけたドキュメント」のためのイラスト

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鳩の目TV10「迫真の臨場感にBBCの底力をみせつけたドキュメント」のためのイラスト
1994
205×142ピクセル
雑誌「鳩よ!」マガジンハウス 1994年10月号 p.33
Courtesy Gallery Cellar

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雨だー。
梅雨だもん。
台風来てるし。

うち、しめっぽいのよね。
・・・てことで、
ウォーターゲート事件を描いたイラストです。

「水」だからウォーターでしょ、
アパートの入口の「門」が・・・。
ぜんぜん意味違います?
そんな事件、知らないもん。


2007年07月14日

逃網

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逃網
1996
[WEB作品]
http://www.aloalo.co.jp/nakazawa/old/tm/index.html
Courtesy Gallery Cellar

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中ザワ「トウモウって作品あるの、知ってる?」
藤田「トウモウ?どんな字ですか?」
中ザワ「逃げる網」
藤田「ネットスケープ?!」
中ザワ「ネットエスケープだよ」

本日の一品「逃網」は、
中ザワさんがインターネットを使った作品です。
クリックすると次の画面、さらにクリックするとまた次の画面、
というインターネットの特性を利用して、
しりとりのような、言葉遊びのようなものをしています。

藤田「でもすぐ『not found』になりますが」
中ザワ「そこが問題なんだよねえ」

中ザワさんの頭の中では、
何万ページにもおよぶ画面を作りたかったそう。
でも、なかなか最初のほうに言葉を戻すことが出来ないとか、
つくる時間がないとか、
もろもろの事情で中断しているようです。

ちなみに書かれている言葉自体は、
思いつきというか気分で発してるだけというか・・・。
中ザワさんてそういう人なんですね。

2007年07月13日

「human touch」のためのイラスト

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「human touch」のためのイラスト
1990
推定400×400ピクセル
掲載歴:ミュージックマガジン1990年10(推定・調査中)月号裏表紙
原画データ消失

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**日本経済新聞朝刊での
中ザワヒデキの連載「滅失絵画 十選」掲載日と連動し、
「一日一品ブログ」では、
中ザワ作品の滅失ならびに行方不明作品を藤田千彩が紹介します。**

この作品は「ミュージックマガジン」の裏表紙にあった、
東芝EMIの広告ページに使用されたものである。
アートディレクター原口健一郎により、
小原礼の新譜CD「human touch」発売広告として発表された。

当時ディスクエラーにより作品データが読み出せなくなった記憶が中ザワ本人にある。
中ザワのCG作品はデータが作品本体であるため、本作は滅失作品である。

実際にイラストレーションの仕事として制作したごく初期のバカCG作品であった。
1990年10月以降、中ザワはマッキントッシュを使用しているが、
本作品は中ザワが初めて買ったPC88VA2(NEC製パソコン)で作られた、
おそらく最後の頃のものである。
PC88VA2にはハードディスクはなく、
5inchのフロッピーディスクでデータを保存、管理していた。

当時のプリンターで出力された紙を、一品ブログのためにスキャンしたものがこの画像である。
パソコンのバージョンやソフトウェアの仕様が進歩によって変化していくことで、
データも見られなくなることが多い。
プリントアウトしたといっても、染料インクで色がにじんでしまったり、
紙が日に焼けて当時の発色とも異なる可能性もある。
データで作られた作品の保存・管理については、
もっと問題にしなければならないということを、
この作品の滅失の経緯が私たちに教えてくれている。

本連載ではデジタル複製の二十一世紀に敢えてアウラ(霊気)を考察したく、
物質性の証左たる滅失に着目した。


2007年07月12日

J.S.II

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J.S.II
1986
25.4×20.3cm
アクリル絵具、モデリングペースト、針金、紙、パネル
発表歴:1986 鈴木淳子個展「COINCIDENCE」玉椿(東京)、1986 個展「初個展」ギャラリーアートワッズ(東京)
行方不明

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**日本経済新聞朝刊での
中ザワヒデキの連載「滅失絵画 十選」掲載日と連動し、
「一日一品ブログ」では、
中ザワ作品の滅失ならびに行方不明作品を藤田千彩が紹介します。**

7月10日に紹介した「PORTRAIT J.S.」とセットのこの作品は、
行方不明になった原因も「PORTRAIT J.S.」と同じである。

「J.S.II」の白い部分は、最初、モデリングペーストが大量に盛られていた。
盛られすぎていたのでそこを切り取り、
切り取ったあとの跡地部分にアートワークを施したのが「J.S.II」となった。
では切り取った盛り上がり本体はどこにいったかというと、
「PORTRAIT J.S.」のまんなかに置かれて貼られ、レリーフ状の顔となった。
したがって「PORTRAIT J.S.」の顔と「J.S.II」の白い部分は同形同大である。

このブログでは、本作を探しています。
今後の展覧会の際に展示する、あるいは買い戻す用意があるので、ぜひご連絡ください。
この作品を熊本または他所で「見た」というかた、是非ご連絡ください。
または松本剛一さんの連絡先をご存じのかた、是非ご連絡ください。
宜しくお願いいたします。

2007年07月11日

1997年7月のまるちめ日記のためのビジュアル

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1997年7月のまるちめ日記のためのビジュアル
1997
480×640ピクセル
雑誌「CD-ROM Fan」 (株)毎日コミュニケーションズ10月号 (vol. 4-10 no. 42) p. 117
Courtesy Gallery Cellar

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すごいキラキラしますね。
なんか目を細めてみたり、遠くから眺めたり。
左下に名前がある。
でもそれ以外、よくわからんです、残念。

2007年07月10日

PORTRAIT J.S.

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PORTRAIT J.S.
1986
51.5×72.8cm
アクリル絵具、モデリングペースト、針金、紙、パネル
発表歴:1986 鈴木淳子個展「COINCIDENCE」玉椿(東京)、1986 個展「初個展」ギャラリーアートワッズ(東京)
行方不明

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**日本経済新聞朝刊での
中ザワヒデキの連載「滅失絵画 十選」掲載日と連動し、
「一日一品ブログ」では、
中ザワ作品の滅失ならびに行方不明作品を藤田千彩が紹介します。**

レリーフ状、半立体になっているこの作品は、
昨日の「ゾーキンガケよ」と同じ、行方不明作品である。

中ザワが1984年に「第1回クレセントコンペ奨励賞」を受賞した際、
同じ奨励賞を取った鈴木淳子さんの個展に、友情出品を頼まれて制作したのがこの作品である。
手掛けたことのあまりないポートレートを、中ザワが試みた作品だった。

そのあと、中ザワの個展「初個展」ギャラリーアートワッズ(東京)の際、
ふらりとギャラリーにやって来た熊本市の松本剛一さんという方が、
「自分で店を始めるので置きたい」と購入。
2004年の個展「中ザワヒデキの原点展: 1980年代アクリル絵画」ギャラリーセラー(名古屋)の際、
作品借用のため連絡しようとしたところ、連絡先が分からず「行方不明」になってしまった。

このブログでは、本作を探しています。
今後の展覧会の際に展示する、あるいは買い戻す用意があるので、ぜひご連絡ください。
この作品を熊本または他所で「見た」というかた、是非ご連絡ください。
または松本剛一さんの連絡先をご存じのかた、是非ご連絡ください。
宜しくお願いいたします。

2007年07月09日

ゾーキンガケよ

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ゾーキンガケよ
1988
9.8×16.7cm
アクリル絵具、紙
発表歴:1988 個展「火星人ヨサラバ」ギャラリーアートワッズ(東京)
行方不明

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**日本経済新聞朝刊での
中ザワヒデキの連載「滅失絵画 十選」掲載日と連動し、
「一日一品ブログ」では、
中ザワ作品の滅失ならびに行方不明作品を藤田千彩が紹介します。**

日本経済新聞で中ザワが紹介する「滅失絵画」は、
「物理的になくなった絵画」として、滅失した絵画作品を紹介している。
したがって、本日の一品は「滅失」ではない。行方不明作品である。

1988年に行われた、
中ザワにとって第3回目の個展「火星人ヨサラバ」ギャラリーアートワッズ(東京)は、
中ザワが社会人になって、つまり医師になってから行った展覧会である。
中でもこの作品は、医師になって初めて描いた作品であった。

この年の5月、日本医科大学付属病院に勤めるため、
勤務地近くの根津へ引越をした中ザワは、引越案内の通知をするとともに、
引越案内の通知と名刺が兼ねられたほうが実用的だし、
単に普通の名刺をつくるだけでは面白くないので、うまくデザインして、
引越案内通知のまま、切り取ればそのまま名刺にもなるようなポストカードを制作した。
宛名面に名刺を印刷したが、その裏の絵柄面にはふたつの作品を配置した。
ひとつは雨、フ、ル、日。(赤)
そしてもうひとつがこの作品「ゾーキンガケよ」で、ちょうど名刺の裏側に収められている。

「ゾーキンガケよ」が発表された展覧会では、
中ザワの友人の友人の関陽子さんという方が気に入って購入。
その後、年賀状ではやりとりがあり、1998年までは自宅に飾ってくれていたらしいが、
喪中を機にやりとりが途絶えてしまった。
2004年の個展「中ザワヒデキの原点展: 1980年代アクリル絵画」ギャラリーセラー(名古屋)の際、
作品借用のため改めて連絡したところ、本作品は
彼女のアイルランドの友達のLouise Rodinさんに6年前に贈呈したとのこと。
そして、Rodinさんに連絡をお願いしたが、転居していて連絡も取れないとのこと。
つまり、「行方不明」となっていることが判明した。

このブログでは、本作を探しています。
今後の展覧会の際に展示する、あるいは買い戻す用意があるので、ぜひご連絡ください。
この作品をアイルランドまたは他所で「見た」というかた、是非ご連絡ください。
またはLouise Rodinさんの連絡先をご存じのかた、是非ご連絡ください。
宜しくお願いいたします。

2007年07月08日

HAPPY TALK「TIP TOE」のためのイラスト

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HAPPY TALK「TIP TOE」のためのイラスト
1991
275×1280ピクセル
雑誌「HAPPY TALK」 (株)アスク講談社 1991年2月1日号 YEAR1,2号/通巻第11号 pp. 1-5
Courtesy Gallery Cellar

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♪head and shoulder knees and toes
という英語のかわいい歌を思い出してしまいました、本日の一品。

なんで窓ガラスが割れてるんだか分かりませんが、
つま先歩きの絵なんて、めったに見られません。
しかも亀までもつま先立ちしてるなんてキュート!


2007年07月07日

子どもに激怒してしまう私・第5回「「私が親なのに!」義母への怒りを、子どもにぶつけてしまう」のためのイラスト

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子どもに激怒してしまう私・第5回「「私が親なのに!」義母への怒りを、子どもにぶつけてしまう」のためのイラスト
1993
230×1220ピクセル
雑誌「プチタンファン」婦人生活社 1993年4月号 pp78〜80
Courtesy Gallery Cellar

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「プチタンファン」は子育てママ向けの雑誌ですが、
そういう雑誌には嫁・姑問題がこういう形で載るんですね。
ふふふ、面白い。

私自身、おばあちゃん子だったので、
こういうシチュエーションってよくありました。
実際目にしたというより、
母親もおばあちゃんもこういう感覚になってるんだろうな、
という想像をしてた気がします。

しかし怒ってるお母さんって、なんで目が逆三角形っぽくて、
おばあさんの着てる服ってイケてないデザインなんでしょう。
中ザワさんの感覚って、面白い。


2007年07月06日

two places(より「渓流」)

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two places(より「渓流」)
1986
全体は、「竹道」「渓流」の2点組。各103×72.8cm
アクリル絵具、水性ペンキ、パステル、紙、パネル
発表歴:1986 「常設展」ギャラリーアートワッズ(東京)
現存せず(廃棄)

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**日本経済新聞朝刊での
中ザワヒデキの連載「滅失絵画 十選」掲載日と連動し、
「一日一品ブログ」では、
中ザワ作品の滅失ならびに行方不明作品を藤田千彩が紹介します。**

1986年春に行われた、第1回個展である、
「初個展」ギャラリーアートワッズ(東京)で発表した作品は、
4年間描きためたものがほとんどで、赤やピンクを基調とした作品が多いのが特徴だ。

同じ年の暮れに第2回個展である、
「Effie, Madge, Tina, Louise, Betty, Anita」ギャラリーアートワッズ(東京)を行った。
作品ほとんどを新作で発表するために、制作をする時間が半年あまりしかない中で、
中ザワは第1回個展で使った色からの脱却を図ろうと試みた。

昨日も書いたが、この「two places」は、第1回個展と第2回個展の間に描かれている。

当時の中ザワは、画材の研究に余念がなかった。
中ザワが当時気にしていた作家のトゥオンブリーを意識してか、パステルの使用もある。
紫の部分がパステルだ。
第1回個展に見られる赤系色の探求は、
赤の純色ではなく茶色等暗めの中間色を主体に行われた。
本作の赤茶色は、サビ止め用の水性ペンキだという。
本来絵の具としての目的はないサビ止めの水性ペンキのため、
色の美しさより表面の硬さが見えてしまうほうが目立ってしまう結果となった。
また一見黒く見える絵の具は、リキテックスの灰色のひとつで、
より暗い「ニュートラルグレイV3」を使っている。

ちなみにこの「赤茶、紫、濃灰」の組み合わせは、その後の作品にも見られる。
第1回個展と第2回個展の過渡期に描かれたこの作品を失ったことは、
そのプロセスを実証するものがないことも意味している。
作品や作風は突然変わるものではない、と「two places」は私たちに教えてくれている。


2007年07月05日

two places(より「竹道」)

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two places(より「竹道」)
1986
全体は、「竹道」「渓流」の2点組。各103×72.8cm
アクリル絵具、水性ペンキ、パステル、紙、パネル
発表歴:1986 「常設展」ギャラリーアートワッズ(東京)
現存せず(廃棄)

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**日本経済新聞朝刊での
中ザワヒデキの連載「滅失絵画 十選」掲載日と連動し、
「一日一品ブログ」では、
中ザワ作品の滅失ならびに行方不明作品を藤田千彩が紹介します。**

2点で1作品である、「two places」が滅失している。
(今日は「竹道」を紹介、明日はもう1点である「渓流」を紹介予定)

この作品は、1986年の個展「初個展」ギャラリーアートワッズ(東京)で発表した
「竹道」(5月9日の一日一品で紹介)とモチーフが似ている。
本日の一品は、数ヶ月ほど後に描かれている。

というのも、
1986年の個展「初個展」ギャラリーアートワッズ(東京)のあと、
ギャラリーアートワッズから「常設展をするから何か出さないか」という打診があり、
制作されたのがこの作品であったからである。

当時の中ザワは、制作にあたりさまざまな実験を繰り返していたため、
何を考え、どう表現するかという苦悩を作品から窺い知ることができる。

例えばこの作品には、影や煙が描かれている。
この作品発表後に行われた、
第2回個展「Effie, Madge, Tina, Louise, Betty, Anita」ギャラリーアートワッズ(東京)で、
影や煙をつけている作品がいくつか発表されたが、その萌芽が見られる。

若いころというのは、誰しも過ちがあるものだ。
この作品を発表した後、中ザワは「欲しい」という友人に譲渡。
やがてその友人が引越をする際、廃棄されてしまった。

中ザワにも責任がある。
友人の前で「この作品捨てるべきかも」と悩んでみせたのだという。
その友人は、「捨てるくらいなら欲しい」ということだったようだ。
だから一概にその友人を責めるわけにもいかない。

いまとなっては、第1回個展と第2回個展の過渡期に見られる試行錯誤、
作品とみなすものとボツにするものの境目をくり返していた若かりし日々。
7月3日の日本経済新聞「滅失絵画 十選 マティス 大裸婦」ではないが、
残しておくと中ザワ自身の芸術観を疑われかねないという意識が働いたのだろうか。
当時の心情を垣間見ることができる、貴重な作品のように思えてくる。


2007年07月04日

不良少年のパソコン学第1回「アナログぶりっこのデジタル」のためのイラスト

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不良少年のパソコン学第1回「アナログぶりっこのデジタル」のためのイラスト
1993
4点組 各480×480ピクセル (画像は4点を順番に横一列に並べています)
雑誌「ASAhIパソコン」朝日新聞社 1993年1月1・15日合併号 (no.95) pp.40-43、「不良少年のパソコン学」朝日新聞社 1994年 pp.7-13(単行本にモノクロ図版として掲載)
Courtesy Gallery Cellar

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7月1日に紹介した
「不良少年のパソコン学再び最終回「シャットダウンする」のためのイラスト」
の最後に少し触れましたが、
「不良少年のパソコン学再び」の前年に、
同じ雑誌「ASAhIパソコン」に連載されていた「不良少年のパソコン学」
のイラストを中ザワさんは担当していました。
執筆者は「不良少年のパソコン学再び」と同じ、荻窪圭さん。
4ページの掲載で、1ページごとに中ザワさんのイラストが載っています。

「不良少年のパソコン学」は1993年の連載だから、
パソコンを持ってた、なんて人、超ーぉ少なかったんじゃないかと思われます。
それでタイトルにある「ぶりっこ」てなんだっけ?
絵柄にある「デジアナ」って、今はデジタル放送のアナウンサー、って意味ですよね。
やだやだ、また古い時代の物語をひもといちゃった気分。
だけどいつでもパソコンは0と1の世界なのが不思議です。


2007年07月03日

garcon (2)

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garcon (2)(注)
1986
72.8×103cm
アクリル絵具、板
発表歴:1986 個展「Effie, Madge, Tina, Louise, Betty, Anita」ギャラリーアートワッズ(東京)
現存せず(廃棄)
(注)タイトル「garcon」の「c」はセディーユ

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**日本経済新聞朝刊での
中ザワヒデキの連載「滅失絵画 十選」掲載日と連動し、
「一日一品ブログ」では、
中ザワ作品の滅失ならびに行方不明作品を藤田千彩が紹介します。**

中ザワ作品の中には、
同じタイトルで番号が振られている作品がある。
複製ではなく、同じモチーフを用いて描いているのである。
2月17日に紹介した「garcon」にある、
はしごを掛けて壁を乗り越える人がこの「garcon (2)」にも描かれている。

この作品に見られるコマ割りの画面構成は、
同じ第2回個展に出品した「boomerang」(一日一品ブログでは未紹介)にも見受けられる。
「boomerang」は9文字なので、画面は9分割であるが、
6文字の「garcon」は6分割されている。
中ザワによると、コマ割り画面は、時間経過を意味しているわけではないそうだ。

この作品は「Six Rox」と同じ所有者だったが、
いくつかの要因が重なり、廃棄された。
2004年の個展「中ザワヒデキの原点展: 1980年代アクリル絵画」ギャラリーセラー(名古屋)の際、
出品のため借用しようとした際に滅失の事実が明らかとなった。
(ちなみに、「Effie's roof」の所有者とは名義が違うが、実質
的には同じだった。)

赤い空の色はパールコパーが主体であり、
紫がかった壁の色はルミナスヴァイオレットが主体となって使われている。
モチーフ、画面構成、色のどれもが、同時期の作品との関連性が強い作品だけに、
失われたことが惜しいと私は強く思っている。

2007年07月02日

Effie's roof

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Effie's roof
1986
60×90cm
アクリル絵具、紙、パネル
発表歴:1986 個展「Effie, Madge, Tina, Louise, Betty, Anita」ギャラリーアートワッズ(東京)
現存せず(廃棄)

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**日本経済新聞朝刊での
中ザワヒデキの連載「滅失絵画 十選」掲載日と連動し、
「一日一品ブログ」では、
中ザワ作品の滅失ならびに行方不明作品を藤田千彩が紹介します。**

第2回個展タイトル「Effie, Madge, Tina, Louise, Betty, Anita」は、
当時中ザワが好きだった曲の歌詞に出てくる人名から取られている。
中ザワはそのうちの一人、Effieがスリッパを脱いで瓦屋根に上っている、
という物語を作り、表現したのがこの作品である。

画面全体に対象(本作品の場合は瓦模様)が広がるというアイデアは、
同じ展覧会で発表された「Slippers」(一日一品では未紹介)にも見受けられる。

中ザワ曰く、
「制作時、日中はある程度窓から光が差し込む状態、
 日が暮れてからは蛍光灯の光のもとで描いていた」。

実際の画面はパールコパーという赤銅色のパール色が地色として使われ、
その上には蛍光色同士を混ぜ合わせて出来た灰色を大量に乗せていた。
窓からの光、そして蛍光灯の光のもとでは、緑色がかった灰色に見えたそうだが、
作品展示時に会場の白熱灯のもとで作品を見たとき、
むしろ地色である赤銅色のパール色が目立つものとなってしまったらしい。

この掲載画像は、展示会場の白熱灯のもとで撮影された写真をパソコンに取り込み、
制作時の色みに近づけるべく、フォトショップによって緑を若干強調している。

2004年の個展「中ザワヒデキの原点展: 1980年代アクリル絵画」ギャラリーセラー(名古屋)の際、
個人蔵だった本作品が、いくつかの要因によって廃棄されていたことが判明した。

現在、中ザワが制作時に見た色みとは違う、
白熱灯のもとでの色みで撮影された写真やポストカードが残されている。
(中ザワは、この経験から生理的色彩は信用できないことを痛感し、
 のちに方法主義で記号による論理的色彩を主張するようになっていった)

中ザワ本人から実際の色について聞くことができたことは、
記録を目的とするライター業をまっとうした、と私は思っている。

2007年07月01日

不良少年のパソコン学再び最終回「シャットダウンする」のためのイラスト

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不良少年のパソコン学再び最終回「シャットダウンする」のためのイラスト
1994
480×580ピクセル
雑誌「ASAhIパソコン」朝日新聞社 1994年10月15日号 (no.136) p.121
Courtesy Gallery Cellar

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いやぁ、7月です。
なんだかんだで、この一日一品ブログも半年続きましたよ。

で、今回は悲しいお知らせ。
この半年に18回も掲載した
「不良少年のパソコン学再び」のためのイラストが最終回分です。

4コママンガみたいなイラストでしたねー。
てゆうか、なんで「再び」だったんだろ?
え゛?「不良少年のパソコン学」っていう連載が先にあったの?
なにそれ、言ってよーーーー!
(↑今後乞うご期待)


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