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本書の読み方:「循環史観」で読み解く現代美術史(文責・編集部)
【確定】
本書の読み方:「循環史観」で読み解く現代美術史(文責・編集部)
現代美術史は、「前衛」→「反芸術」→「多様性」のサイクルを約30年周期で繰り返している
著者の中ザワは、現代美術史を「前衛」→「反芸術」→「多様性」のサイクルを繰り返すといった循環史観でとらえています。「前衛」とは新しい表現を生み出そうとする表現主義的動向、「反芸術」とは表現自体を否定する現実否定的動向、「多様性」とは時代支配的なイズムが後退し、多様なイズムが乱立する、あるいはイズムなき快楽的な作品、マニエリスムの作品が台頭する時代を意味します。
以下の表は中ザワの循環史観によって分類された20世紀の日本現代美術史です。なお、本書は敗戦後(1945年)からスタートしており、循環史観のフェーズでいうと「多様性」の時代の途中からはじまっていますが、本書では取り上げていない戦前の「前衛」→「反芸術」を含めると、20世紀に入ってから、このサイクルは3回転しています。そして2010年以降、4回転目の「前衛」のフェーズに入ったというのが本書の立場です。
前史
ヒュウザン会と草土社
大正期新興美術運動
プロレタリア美術