1996年10月のまるちめ日記(96.10.01〜96.10.31)
96.10.01(火)
昨日はエレクトロニックカフェにてEXPO+中ザワの「ヘアライヴ2」だったため、とにかく疲れているのだが、と、この「まるちめ日記」を書き始めてから今日で一年。ご購読有り難うございます。朝ぱぐちょU−1、O−0。印種エキスポの方のe-mailアドレスを覗いてみるとメーリングリストで典型的な会話がなされている。すなわちエキスポ側から「ダウンごめん。数時間で復旧しました」→誰かA「おつかれさま」→別の誰かB「ダウンは予測できたはずだ。数時間も止まるなんてプロのすることでない(非難)」→エキスポ側「でもそんなに対応悪かったわけではなく以前の数百倍よかったはず(弁解)」→→誰かBとエキスポのやりとりは結局目黒と日比谷の間を車で往復するのにどのくらい時間がかかるかなどとゆどーでもいーことにまで論議が行って、誰かBの一部の意見にエキスポ側が同調したりするはめに。これだから印種のメーリングリストとかパソコン通信の会議室とかは好きじゃないのだ。「なすび本」の販売を弊社も委託されるので、その打ち合わせに小沢氏来アロ。元水泳部だった氏も一緒にぷーる。
96.10.02(水)
日曜の晩から雨模様だったが今日は晴天。寒いが、もう10月だもんね。先日「転職」をテーマにインタビューされた掲載誌送られてくる。内容的にちょっとこれでは困ったかんじ。取材に対するよい反省材料となる。やはりいくら編集長とか副編集長の方がじきじき来られるとは言っても気を許してはならないだろう。アスクの中村氏と飯嶋氏いらしてWIN版デジネンアプリケーション本体の最終確認。これは11月8日発売予定です。つかののホメパゲnarukema、まえだのホメパゲimage clubも充実してきてて面白い。タワシのページにはずっとカウンターを付けたいと思っていて、しかし普通のカウンターではつまんないのでちゃんとSSIで言語書きたいのだが、いくら試してもどーもうまくゆかない。と思ってサイバー社にTEL確認したところ、方針が変わってSSIはこのたび急にサポートされなくなったとのこと。しゅーん。
96.10.03(木)
月刊「公募ガイド」誌より取材。そのあと、以前から「会いたい」と連絡くださっていた年輩の矢嶋さんとゆ方(某ソニー関係)いらっしゃる。特に急ぎの用事があるわけではないが、何か新しい発想につながればとゆかんじらしく、タワシの「バカビデオドラッグ」等を面白がってくださっていたとのこと。一応立体プリンタの話をふっておく。「Plastination」社長業務。
96.10.04(金)
眼科後タワレコJAZZフェアで少々購入。ぱぐちょはデューク・エリントンにそっくりなことを発見。引き続き「Plastination」社長業務。その後「逃網」少々。
96.10.05(土)
昨日に引き続き「逃網」かなり増やす。本当は「太陽」誌も「なすび本」もやらなくてはいけないのに。と思っていたら「なすび本」催促大岡よりメールで来てる。慌てて着手。具体的には「なすび画廊誕生の経緯:実はアーティスト中村政人氏の怒りこそがなすび画廊を生んだと言っても過言ではない」というようなことを、他に誰も書く人がいないので、画廊主の依頼もありタワシが記しておこうというもの。書きながらまたも思うが、あの頃のことは早いとこきちんとまとめておかなければなるまい。即ち90年代型日本ダダ・ムーヴメントについて。やっぱ村上隆氏が偉大でした。
96.10.06(日)
なすび本の原稿結構手間取り、夕方やっと原稿をデザイン担当の大岡くん宛にメール。タイガーメンテ。「太陽」誌アート欄原稿着手。最終回の今回は、国立近美で見た90年代韓国美術展の、特にキム・ホンジュ氏の作品について。韓国史の理解が必要だが、図書館で借りた「図解韓国史」の、現代のところを読む。知らなかったことばかり。
96.10.07(月)
5:30am起きしずっと太陽誌続き。大岡は「なすび本」のデザイン多忙で今日明日はアロアロは休みだが、家仕事お願いするので(もとみやのデザイン仕事関係)朝の会議には来てもらう。太陽誌レビューやっと昼にFAX入稿し、慌てて秋葉原に行きオアシス見たりしてから澤田さんの事務所へ。新しい話題を3つ検討。うち1つは残念ながらダメかもと思ったが、夜入浴中に解決方法また思い付く。
96.10.08(火)
雨。先月の日記書き。夜吉祥寺マンダラ2で「つれれこ社中」ライヴ。今回は関島氏のtuba入り。対バン「フェダイン」も面白い。
96.10.09(水)
朝5時起きしてアサパソイラスト。のあと日記入稿は寺谷氏に延ばしてもらい、ずっと「デジネン・ネーミング裏話」。つまり今度のデジネンWIN版発売に間に合わせて、書いておくべき文章はやはり書いておこうというもの。CD-ROM内にテキストデータの形で収録する予定で、そのためには今日あたり、できるたけ早く締切と言われていたものの、書き始めると予想を超えて長大文章となり手こずるのはいつも通り。本当は「ネーミング裏話」のみでなく「立体プリンタ」についても書こうと思ってるのだが。と思ったらCD-ROM焼きの入稿締切もまだ先へと延ばせることとなり、こゆ展開もいつも通り。
96.10.10(木)
体育の日。ずっと「デジネン・ネーミング裏話」原稿書き。夕方ちょっと逃網。
96.10.11(金)
今朝も5時起きしてよーやっと先月の日記書き上げイラストも描き、寺谷氏宛に入稿。眼科後寺谷氏より「印種実験室」、見ましたやられましたとのメールいただく。フォッフォッフォッ。氏は漢字変換は一回切りとゆ決まりのチャット部屋を考えてるとのこと。すると「た」で「タワシ」、「な」で「中ザワヒデキ」、「ま」で「マルチメディア」等いろいろ登録しとるタワシには大変なことになりそうで是非やってみたし。ずっと「ネーミング裏話」。
96.10.12(土)
銀座の画廊をちょっとだけ巡ってから、Gallery HAMで開催されている鷲見麿氏の個展等見に名古屋へ。新幹線での読み物は図書館で借りた日本現代史読本で、こちらも知らなかったことだらけ。名古屋ではまず、奈良美智展開催中のギャラリー白土舎行き、土崎氏に挨拶。このギャラリーは昨年第一回「太陽」誌レビューに書かせていただいた鷲見氏の個展で来たところ。その後雨の中を移動。傘買いたいが、店お休みで傘など全然売ってない。途中のギャラリーで村上三郎氏の展覧会。その後随分ずぶぬれになってから、やっと開いてるデパート見つけ高い傘を買い、さらに歩いてロフト的な作りのHAMにたどり着く。美術評論家の石川翠氏ほか沢山いる。今回の鷲見氏の展示は約2パターンあり、ファン・エイクなどの名画の中のどこかに女子高生青紀がいるものと、もう1つは雑誌の表紙の中に青紀がいるもの。後者のシリーズの1つには「太陽」誌もあり、見出しリードにタワシの名が書き込まれている。そゆ話だったからこそ来てみたわけでもある。しかし昨年の展覧の方がまだ面白かったかもしれない。かつて石川氏がアンリ・ルソーを引き合いにした鷲見麿論を書いていたのはなるほどと思うのだが、ただしタワシはルソーをむしろ「困った存在」だと思っている。その「困った」とは昨年書いた太陽誌レビューでの骨子でもあり、その点では今回の感想も変わらず。閉廊し帰路につき、意外と名古屋・東京間は時間がかかり、今晩佐賀町の小山登美夫ギャラリーでオープニングが行われているはずの村上隆「727」展には、間に合うべくもない。
96.10.13(日)
川口現美のカタログでたまたま作品写真を見てハマって以来、ずっと松澤宥とならんでタワシが一番気にしているところのアーティスト古屋俊彦氏らによるワークショップを見に川崎市民ミュージアムへ。司会の佐藤実氏は以前同館のCD-ROMワークショップか何かで御世話になった方で、今回の「ソニックパーセプション」自体を企画されてる。深山径世氏の茶道パフォーマンスは、つまらないことが目指されていてそのままつまらないことに成功している、なんとゆか「アイデアルコピー」テイストなかんじ。アヒム・ヴォルシャイト氏は自身がアーティストであるということが自明であることからすべて出発できている、日本人とは違うヨーロッパ人なりの立脚点。そして古屋氏の作品とお話はやはりダントツに面白く、ナンカロウのビデオを以前見て焦らされたときのように、「まずいな〜」と思わされることしきり。新作「合成多連続文書」が非常に美しく秀逸で重要に感じられる。問題意識のありかがタワシはとても共感できる気がするが、しかしタワシの場合随分不徹底にしかできていないことをとっくに彼は徹底して本質を極めている。ところで話の途中で、文章における一次元構造とかフラクタル次元とかいった単語がチョロッと出てきていたが、そゆ話って言語学のフィールドではもうとっくに了解済みの事項なのだろうか? タワシは何も知識がないまま以前ガロ誌で「しりしり論」を書き、そこでそゆ問題に自分一人で勝手に気付きいろいろ書いてたわけなのだが。その成果はタワシの場合イントロ誌での「跳び蹴りの彼方へ」を経て「逃網」へと至っているのだが、もちろん誰もそゆ観点から見てはくれない。と思ったら、とっくにそのレベルをも飛び越えた客観主義美術の極みがすでに古屋氏の一連の作品として結実してるって事態。ワークショップ終了後古屋氏とちょっとお話しする。タワシの場合そういった作品の拠り所としてヒルベルトの形式主義を重視しているつもりだが、古屋氏の場合やはりかなりソシュールな様子。……なんて、自分で質問しときながらオタク同士が相手の成分表チェックしてるみたいだ(^^;) 氏は今出てるBT誌にちょっとだけ紹介されているデジネンを面白がってくれていた様子で、タワシはほんとはデジネンと古屋氏の作品の関係をある観点から文章にまとめたいとすら思ってるくらいなのだが、まだそこまでは現段階では話せず。
96.10.14(月)
早朝起きがこのところ続く。引き続き「デジネンネーミング裏話」。大岡が忙しくてまたもちょっとお休み。つかのは昨日NHKでやっててタワシもちらりと見た「フラクタル」に興味持ったらしく、昨日テレビに出ていた高安先生の著書を貸す。18時アスク本田氏飯嶋氏現れ明後日の打ち合わせ。夜タイガーメンテ。
96.10.15(火)
今朝の散歩でのぱぐちょは、やっと公園で他の犬のあいだに落ち着いていられる。これは初めてのこと。「デジネンネーミング裏話」がやっと仕上がり、「立体プリンタについて」の文章に着手。以前都写美でのデジネン展示に間に合わせるように書いた「実作例」と、今回の「ネーミング裏話」「立体プリンタ」は、ともにタワシのテキスト「視覚芸術史におけるデジタルネンド誕生の意味」の「付録」として発表される予定のもの。夜プール。もとみやは泳がずにぱぐちょと公園内散歩。
96.10.16(水)
つかのは高安先生のフラクタルの本にあった平面シルピンスキー図形と、別の本のフラクタル画像集の立体シルピンスキー図形とから、デジネンで立体シルピンスキー図形を作ることを想起。それは是非見たいと言ったところ、実作例をうちで作ってきて見せてくれる。なるほど面白い。ふかんで見てもビューワーで見ても、これは素晴らしい。このシリーズ……デジネンでの立体フラクタル図形シリーズ……を、次なるアロアロフロッピーズとして刊行するのはいかがだろうか。デジネン機能限定版ならただでDLできるし、デジネンデータはそのままWIN対応するし。
飯田橋で人身事故ありちょっと遅れて15時過ぎにアスク着。タワシが一昨日提案したブロックでの立体物例やらハンズで売ってる発泡スチロールでの幾何学的立体物例等いろいろ持ち、本田氏飯嶋氏小林氏とタワシで17時頃築地着。MMCA主催のマルチメディアグランプリ96の審査ってわけです。昨年はMMA=マルチメディアソフト振興協会だったが、このたび改名してマルチメディアコンテンツ振興協会=MMCAとなったとのこと。昨年「キッズボックス」受賞時等で御世話になった協会の福島さんらもお元気な様子。審査員にはデジネンを以前「ハイパーカード以来」と面白がっていただいたデルソさんもいらっしゃる。
アスクからはホームアプリケーションのククリの松本弦人氏の「ポップアップメーカー」とタワシの「デジネン」の両者が、ともにパッケージ部門のエンターテインメントのコーナーへの応募で、2つを続けてデモするとゆ段取り。本日が審査最終日で、しかもそのラストの審査。まず本田氏からホームアプリケーション全体について、他に適当なククリがなかったのでエンターテインメントとして応募するが、アプリケーションとは言っても楽しさを主眼にしているのだということの簡単な説明。その後デジネン、メーカーの順にデモ。まずタワシがダーっと、いかにこの「ビットマップ3D」なるジャンルが優れて画期的で斬新な概念かということを、用意したブロックと発泡スチロールを使って説明。さらにデジネンソフトの実演等している間に時間少なくなり、本田氏からホームアプリケーションコンテストのデジネン応募作等でいかにユーザーが楽しんで使っているかの話も入り、タワシからは一応言っておきたくて立体プリンタの話もしているうちに制限時間タイムアウトしたようなのだが、全然気付かず。次に小林氏が「メーカー」の説明を一通りして、アスク社からの応募作審査終了。審査の全体もこれで終了。みなさんおつかれさま〜。
その後小林氏は用事があるとのことで、本田氏飯嶋氏とお茶。昨年もマルチメグランプリ審査の時利用した、ビルの向かいの喫茶店。タワシは切り出すのは今日のこの場がちょうどいいと思い、特許出願申請中であるという話をする。すなわちプログラミング部分を除くデジネンの基礎的アイディアつまりビットマップ3Dグラフィックツールということと、それに基づくビットマップ型立体プリンタのアイディアの二つは、ともに私の会社アロアロインターナショナルより特許出願申請中であるとゆこと。もちろん特許にならない可能性もおおいにある。しかしもしうまくいって特許になった曉には、デジネンを共同で開発したアスクさんには是非優先的にこの特許を使っていただきたいという意向を伝え、そして万が一他社から問い合わせがあったような時には、一応特許出願中だと言ってくれということを確認する。……これはずっと前からいつ言おうかと気にしてたこと。特許関連の話題はこの日記にも今までは書かなかったことだが、しかしそう思って後から読み返せば気付くことの出来るような仕掛けは随所に施してあります。
立体プリンタの特許まで申請したという話で本田さんは急に思い出したように、「そう言えばつい最近、弦人さんがこれ是非中ザワさんに見せてくれって……」と言いつつ弦人氏の自筆のメモ用紙を取り出して見せてくれる。するとまさしく「Boxel Printer」と走り書きされた立体プリンタの図解メモ。これはまさしくタワシが出願したもののうちの一部である「非水中花型くろこ的透明立体インク仕様」に相当するもの。昨年打ち合わせの席でタワシからちょこっとお話ししたアイディアでもある。デジネン自体が随分簡単な、気付いてしまえば当たり前のアイディアでしかないのと同様、このビットマップ型立体プリンタも随分簡単な、気付いてしまえば当たり前のアイディアでしかないわけで、この通りちゃんと理解していればタワシでなくたって思い付く普遍的アイディアであるわけだ。本田氏の話によると打ち合わせの最中、雑談から弦人氏が「待てよ……」とか言いながら「こうすればできるはずじゃないか」と走り書きしたメモであるとのこと。弦人さんにはいつも一番よく理解していただいていて、本当に嬉しいッス。
帰社後、早速弦人氏にTEL。サンフランシスコに新居探しに行ってて不在かなと思っていたら、ちゃんと狸穴のサルブルにいてはる。今日MMCAのデモに来なかったのは、本当だったらサンフランシスコに行ってる予定がずれこんだのと、それからデジタローグから「ジャングルパーク」も応募しているため、ちょっと自粛したとのこと。しかし久々だね〜、7月の記者発表会以来? それよりなにより弦人さん、今日ボクセルプリンタのメモ紙、本田さんから見せてもらいましたよ〜、いや〜嬉しくなって電話したんスが……等々。
96.10.17(木)
朝3時に起きずっと「立体プリンタ」原稿。今日デジネンWIN版CD-ROMマスターのほとんど最終の試し焼きとのことで、もう先には延ばせない。タワシとしても、今日15:30に設計工場の高橋さんが見えるまでに、設計工場/日展〜名古屋「不可視関数試論」関係の仕事をきちんと理解し整理しておく時間がほしい。ので朝10時の弊社始業時刻までにはどうしても入稿せねば……と思ってはいたものの、いつも通り全然終わらず。しかしとにかく膨大量テキストを32KB以内のテキストファイルに分割してNifty入稿完了したのが15:29。間髪入れず高橋氏現れる。本当は佳境に入ってなくてはならない11月末だかにオープン予定の名古屋青少年センターの仕事……抽象怪獣ディペイズマン改め空即是色インタラクティブ改め不可視関数試論……の、ソフトではないハード自体の外観デザインの、最終打ち合わせである。頭が整理されてないがなんとか色々指示出しを済ませる。具体的には「向こう」の29インチモニタ側の壁の色とマチエルをイタリア調の白に決定。モニタの額縁は来週火曜日までにタワシから決定したものを伝えるとゆ段取り。「手前」のもろもろのデザインも来週火曜日までにタワシから伝えることに。回りの状況なども聞き、ようやく完成形態がイメージできてくる。途中、Windows用ファイルのネーミング文字数のことで、アスク中村氏より急ぎのTEL入り、バタバタしててスミマセンでした>高橋様。その後アスク社からはまだCD-ROM用テキストデータの中身は直しがきくとのことで、文章直し作業。
96.10.18(金)
眼科後ぱぐちょに噛まれたメガネを直しついでにもひとつメガネ新調。今度は黒縁。帰社後「鳩よ!」イラスト。デジネンWIN用テキストファイルのネーミングを、WIN3.1にも対応きるよう8文字英数字のみとして、これでよーやっとテキスト群完成。中村様飯嶋様長いこと本当お待たせしました。タワレコで買ったホロヴィッツのオールドスタイルの演奏のショパンが面白い。とくに「英雄ポロネーズ」は中学生の頃ホロヴィッツで聴いて以来他のピアニストでは物足りず聴けなくなってしまっていたのだが、改めてこうして聴くとポリーニ以前の、なんというかハイカラ爺さん風味な演奏だ。
96.10.19(土)
川崎市民ミュージアムで先週に引き続き古屋氏らによる「ソニックパーセプション」ワークショップ第2回。先週配布された冊子にある、古屋氏の「美術作品の存続条件」とゆテキスト等に一応目を通して出かける。古屋氏の話の骨子は、「結局乱数とはよいものである」ということだったか?? そのよな拡大妄想的解釈はおそらく古屋氏本人が意図するところではなかろう。さらに言えば、そこから生命起源説の話にまでタワシは拡大妄想してしまった。
夜には「逃網」結構進む。本当はやらなきゃならないこと沢山あるが、どうしてか「逃網」したくなる。ほんと、タワシの中でもこんな作品初めて。普通は作品をそんなに作り続けたりしたくはなく、さっさと結果が見たいわけで、しかも結果にたどり着くまではかなり苦しかったりもするわけだ。しかし本当に成長型で一定の興味と楽しさを持続できるこんな作品って、今までにはなかった。タワシの場合、他者に発表する時点が常に作品の完成の瞬間であって、一度発表したものを、次に発表する機会もないのに修正したりするようなことは皆無だったわけなのだが(つまり完全に自分のためだけという作品は存在しない)、印種だと出力の仕方が経時的なのでこのようなことが可能となるってわけ。しかもそのリアリティによくこの「逃網」システムは応えていると思う。カード数がやっと100を超える。
96.10.20(日)
家事。タイガーメンテ。総選挙。夕食後すぐ睡眠とり1:30AMに起き、総選挙の開票結果見ると予想通り自民党の圧勝。そのまま寝ずに仕事。つまり15日締切だったアスク社のポップアップメーカー作品例作り。すなわち年末アスクから出る予定の、クリスマスカード等のポップアップメーカー作品例キットCD-ROMに収録される造本直前データ作品。今までメーカーに触ってみたかったんだけど、結局仕事として締切に追われたりしないと何もできないので、これがちょうどいいチャンス。実際触るととても面白い。しかしもちょっとエンターテインメント性より、最低限の機能性を充実させてほしかったところも無くはない。5ページ目を作りたいのにいちいち1ページからめくっていかなければならないとか……。造本にも結構時間がかかるのだが、それは機種によって著しく変わる様子。PowerMacといえども6100/60では随分遅いようなのだ。
96.10.21(月)
昨晩からのポップアップメーカー仕事では、作品についてのメドはすでに立つ。すなわち7月の記者発表の際にデモ見ながら「こう使いたい」と思っていたことが、そのまま可能なことがわかる。また、たとえば顔を5つ置くにしても小さいのを全体に散りばめるよりは、大きいのを真ん中辺に重ねて置いた方が「飛び出す」感じが全然効果的だなどというノウハウも判明。つい絵本の上にデジネン的な水槽的作業空間を想定してしまいがちだが、そうするといざ造本したときに困る点が出てくる。つまりこれはドローツールなのだ。ドローツールではキャンバス空間は存在せず「窓」の機能しかないという、タワシが「デジネン」テキストで書いた通りの理屈。なかなか面白いのができかかる。クリスマスカード1つに、自由な作品が2つの合わせて3作品。特に3作目は抽象自動書記アニメの系譜だ。最後段階での造本をしてないのでまだ手直しが必要かもしれないが、一応造本前のデータをフロッピーに入れて14時半過ぎにアロアロを出発。
まず新宿世界堂本店。10年前に焼失前の旧店舗をよく利用していた。額縁コーナーに直行し、名古屋「不可視関数試論」の「向こう」の29インチモニタを縁取る額縁を決める。店員さんにいろいろ質問して、一番ヘンテコな、しかし説得力がありタワシの琴線をちゃんと刺激してくれた額縁に決定。水色と薄ピンクと白で、モデリングがなされている、下手するとファンシーととらえられかねないアブナイ柄の受注規格額。こんな悪趣味な額使う人いるのか? ここにいるよって?? しかしこのくらいやらねば折角わざわざ変な事をする説得力が出ないだろう。そもそもモニタ画面をキャンバス画面に見立てて額装して白壁に埋め込もうなどとする事自体がキテレツなのだ。この額はそのキテレツさを、荒川修作の養老天命反転地みたく、説得力ある美しいキテレツさへと導いてくれることだろう。なんちて。
その後約束の16時にはちょっと遅刻して、アスクにてMacLIFE誌100号記念を兼ねたホームアプリケーションコンテストのデジネン部門審査。テレビ東京からは日比野氏、MacLIFE誌からは編集長氏が遅刻していらっしゃる。作品はまあまあの量は集まっている。企業の販促目的の公募コンテストの審査員は何回か経験しているが、まあ印象としては今回も似たようなもの。かつての日グラなどのようなノリは微塵もない。ってのは当たり前かもしれない。
しかしアプリケーションなんだから、もちょっと開発者の意図を裏切るような、こっちを焦らせてくれるものが出てきてくれてもいいんじゃないか? ほとんどこちらの想像の範囲内なのがちと寂しい。フラクタルを作れとまでは言わないけれど。そんな中では大賞の60才過ぎの年輩の方(お名前忘れてしまいました、失礼!)の一連のぱらぱらマンガ作品と、中ザワヒデキ賞の主婦の方(たしか吉田一美さんという名前の方)の「わからない箱」という作品とは、ともに立派で秀逸なものでした。IIciで作られているとゆ大賞の方の作品はスタンプに入っている尾形さんのぱらぱらマンガ作品にさらにワザを磨き上げたような作品で、溜息が出るほど完成度が高く世界観もとても素敵。賞品のパフォーマPCで、さらにワザに磨きをかけてくださいな。後者「わからない箱」は、ふかんでは蓋が開きかけてるけど何が入ってるか「わからない」箱で、ぱらぱらで見るとその中身は「わからないことがある……」とゆ内容のちゃんとしたお話の文章。これは32X32X32の大きさにどのくらいの感情量を詰めることができるかを教えてくれる秀作。多分タワシにとっては一番期待した方向の作品だろう。ネンドでもブロックでもぱらぱらマンガでも不可能な、「デジタルネンド」ならではという目から鱗の作品。応募作品が1点だけというのがちょっと残念。タワシからの賞品は何がいいかしら?
タワシが持参したポップアップメーカーの作品の入ったフロッピーは一応お渡しするが、担当の天谷文代氏が会社を休んでいて、それで締切もまだ延びてる状況とのこと。ではもっと手直ししてからお渡しし直します。
96.10.22(火)
ポップアップメーカーの造本レンダリングは、AfterDarkを切ったマックで、夜の間にさせておく。「不可視関数」は朝のうちに「手前パレット」以外のデザインを肉筆ボールペンですませ、設計工場高橋氏宛にFAX&TEL。もちろん昨日見つけた世界堂の額をふまえてのデザイン。その後Illustrator使ってパレット部分のデザイン。夕方過ぎに出来上がり、これでやっとハードまわりのデザインはすべて完了し、残るは肝心の中身のソフト作り。夜プール。行ったのが閉館間際で、すると慌てて全力で泳ぐのでかえって疲れるかも。その後ポップアップメーカー仕事での微妙な手直しが結構大変。
96.10.23(水)
9月に届いていたのに忙しくて今までテストできなかった、名古屋で使う液晶タッチパネル……昨日デザインした「手前パレット」にはめこまれるもの……をつかのと一緒に8500にインストール。いろいろ試行錯誤し、ビデオに出力しつつタッチパネル操作するということが、結局ちゃんとうまく行くことが判明。マウスによるクリックにくらべ全然使いづらく正確さにも欠けるが、しかしなぜにこんなに面白いのだろう? 一番ステキなのがタッチパネル用コンパネ書類のインストールならびに設定時。すなわち「Please touch this screen!」でおタッチしたあと4すみに順番に出る「Touch here!」のメッセージにしたがって、いちいちおタッチ。はっきり言ってエッチ。往年のMacPlaymateなどは、やっぱタッチパネルでおタッチしなきゃ。普段感じなくなっている「インタラクティビティ」なんて言葉すら新鮮に思い出す。銀行の自動振込機のタッチパネルなどでは何も感じないのだが、やはり画面との対話性、儀式性にその辺の微妙な感覚は由来するか?
ところが電光掲示板の方では出力がうまくできず。9月に送られてきた時点で、マックとはつながらないコード口の形状だったので、出力実験するためのものではないと勘違いしてしまっていたのだ。しかし日展栗原さんによると、出力できるはずとのこと。福井の電光掲示板のメーカーまで問い合わせたところ、結局モデムケーブルの一種を間にはさめば解決することが判明。早速つかのに買ってきてもらい解決。DirectorのLINGOでこの電光掲示板は動かせるはずで、そのためのLINGO文ももらっており、試したところバッチリ作動。なるほどホルツァー、電光掲示板って面白い。早速作りかけの「不可視」データをいろいろ改変。特に手前の液晶タッチパネルは19インチ用1024X768の解像度で見るときれいなようにできていたので(みかけのマルチスキャンであって本当のマルチスキャンではない)、ムーヴィー画面自体の大きさを今頃変えたりする。
つかのにはシルピンスキーデジネン作業のため残業してもらうが、あまり作業してもらう間もなく太田螢一氏来アロ。もとみやが料理を作る。つかのもいてブリッジするにはちょうどいい人数。その後太田氏がコメント仕事した映画のビデオ(「ベンヤメンタ学院」)見たりする。「召使いの学校」という設定がなかなか気に入る。奥様おふざけはおやめください。1時過ぎに太田氏帰られ、見送りの途中でぱぐちょ初めて電柱におしっこ成功か? ポップアップメーカーの仕事して就寝。
96.10.24(木)
ここのとこずっと深夜早朝はメーカーばかりやってる。ぱぐちょ散歩にて電柱に向かって片足上げておしっこのポーズするが、やっぱりうまくいかない。先月の日記に「U−1、O−1」などと書けていたのはぱぐちょがまだ子供で、おしっこの仕方を知らないからであったようだ。すなわち他の犬だと主人と歩きながら電柱を通り過ぎるたびにすばやくちょっとずつOひっかけていくのだが、若いぱぐちょは1箇所でジャーっと全部放出してしまい、先月はそれだけだったが今月頭くらいよりなにやら通りがかりの電柱にいる滞空時間が長くなって、片足上げてみては何も出なかったりするようになっていたわけ。昨晩は電柱に片足上げてのOに成功したようだったが、今朝はまた全然ダメな子供犬に戻っとる。タッチパネルは今朝梱包して名古屋に配送。つかののシルピンスキー図形の制作は結構うまく行きそう。ずっと不可視関数試論のLINGOいじり。電光掲示板への文字出力の仕方を工夫。
96.10.25(金)
毎朝まずメーカー。眼科後先週作ったメガネを受け取り、小山登美夫ギャラリーで村上隆727展&PICOPICO SHOW。同ギャラリーは半蔵門線水天宮前駅から遠くなかった。イラストレーターの今井里砂氏から5年ぶりくらいに連絡あり、マックを買いたいがどうしようとのこと。大量表現主義という単語を思い付く。もちろん古屋氏〜ビットマップ〜不可視関数〜アイコン限界フロッピー〜逃網方面。
96.10.26(土)
もとみやが大阪方面の出張に出かける。大リニューアル後のタイガーマウンテンのメンテに相当時間取られる。夜アサパソイラスト。そのあと先週やっと入稿したデジネンWIIN版CD-ROM用テキスト文をhtml化し、印種にアップロード。デジネン関連テキスト群の、現段階での完成形態です。
96.10.27(日)
今朝はぱぐちょ、やっと電柱に何回かに分けてOに成功。晴天。家事。階段でぱぐちょがぶーぶー言ってるので見たらゴキブリつかまえて食べてた。ぱぐちょにつかまるとはずいぶん間抜けなゴキブリ。最初から死骸だったのかとよく見てみると、上1/3くらいだけになった破片はまだわずかに前足を動かしていてほとんど虫の息。久々にマニュモーに入ってみたらさるすべり中野氏からタイガー上でのオアシス話題の返事が来ている。ポップアップメーカー仕事やっと完成。15時より彩の国芸術劇場でスティーブ・ライヒ&ミュージシャンズ。電車で行ったら意外と遠い。1曲目「木片のための音楽」は、見てても楽しい。ナンカロウ同様リズムの対位法は視覚と共に鑑賞すべきものかも。2曲目「ナゴヤ・マリンバ」は、これは聴いたことのない新しい曲。調性的嗜好はかなり合う。マリンバもいいし。3曲目「マレット楽器、声とオルガンのための音楽」はよくCDで聴いてる好きな曲だが、ライヴだといろいろ明らかになるところが多い。とにかく予想通り全体的にとても至福なかんじ。こんななら昨日や明日のチケットも買えばよかったかしら。休憩後は「ドラミング」で、なんと初の全曲演奏とのこと。聴いてるとどうやらうちにある1枚組CDと同じ構成の様子。2枚組のCDもあるのだがそちらには何が入っているのだろう? 終わると盛大な拍手。ところがアンコールが、たった今聴き終わったばかりのドラミング終曲を再びで、こんなこと初めてなのでちょっとビツクリ。
その後、ライヒ会場でまた会いましょうと名古屋で別れ、松澤宥氏の書き込みのある本を貸していただいていた石川翠氏や、他のみなさん方と大宮まで行って飲む。哲学者の伊藤直樹氏、美術家の川口尚子氏、作曲家の一ノ瀬響氏、勉強家の永田桂子氏、美術研究家(とゆ肩書きでいいのかな?)の渡辺登氏、そして今日は席が最前列だったとゆまえだも一緒。このメンバーで飲むといろんな談義ですごく面白いのだが、ちょっとタワシは今回自説を主張し過ぎちゃったかな? 音楽のジャンルの話など、慎重に喋っても反発を招きやすい内容の話をかなりぶっきらぼーに話してしまったかもしれない。酒の席ではあったがちょっと心残り。
96.10.28(月)
寒い日。バイト部屋のクーラー取り外し。三鷹のお寺でアスク天谷社長の奥様の葬儀・告別式。ご愁傷様です。アスク中村氏に昨日完成したメーカー仕事データをそっとフロッピでお渡しする。印種メンテしアロアロページのTOPビジュアル改良。なんとサイバーがまたFile Not foundでなく404 Not Found表示が出るようになってしまった。今月末締切のイラストレーション誌連載「バカCGからマルチメまで」では、そろそろ締切の「不可視関数」に関係あるクリック・インタラクティブ関連の話題をやりたい。となると、やっぱり「マルチメディアからシングルメディアへ」という主旨の話をせねばならず、これは結局今年春にMMAのシンポジウムで喋ったことだな。着手し結構大変。
96.10.29(火)
まだぱぐちょは足を上げてもO出なかったりする。電光掲示板を梱包して名古屋に送る。夜恵比寿EASTにて「時々自動」公演「飛行機で行くから」。昨日より書き始めたイラストレーション誌原稿「マルチメディアからシングルメディアへ」の話の前提となっている、総合芸術関係の話のいい参考例となる。
96.10.30(水)
今朝はぱぐちょ電柱Oできた様子。いい天気。もとみやが暮れに個展をやることになっている新規オープンの原宿ギャラリーより、もとみやが譲り受けたガラスを、レンタカーでつかのが取り行く。思ったよりずっと大きく重く大変なしろもので、アロアロに運び入れる際危ないのでぱぐちょを簡易柵に閉じこめる。そしたらものすごい勢いで吠え、柵に体当たりしながら柵ごと廊下を移動。ちょっと面白かったけど、ごめんね>ぱぐちょ。イラストレーション誌ひねもす。サイバーに聞いたら404は修正中の一時的状態に過ぎず、またすぐFile Not foundに戻るんだそーな。
96.10.31(木)
サイバーはもうFile Not foundに戻っている。来年金沢でシンポジウムの講師する件で、プロフィールと顔写真をH'action沼田氏宛にe-mail送付。MMCAの審査結果待っていたのだが結局どれにもひっかからずということなんだろう。パッケージとしてデジネンはやはり弱かったか。タワシにとってのジャンル全体としての美術史的意義は多大なのだけど、アスクさんにとってはエンターテインメントとゆ解釈だったりもするし、噂によるとマリオ64とかが大賞で、そういうことになると評価される方向性がちょっと違うかなってかんじでもある。昼食休みに図書館行く。午後フラミンゴ金井氏から教育雑誌表紙のモノクロイラストのプレゼン仕事し、その後イラストレーション誌原稿書きひねもす。
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