日之出図  作:中ザワヒデキ

 世界はビットマップ、森の木々で覆われています。しかし境界位置にはフラクタル様のトポロジーな線がオブジェクトとして表れ、視点を頭上の太陽に向かわせるのです。
 目を凝らしてよく太陽を見つめてみましょう。黒点が二つ見つかります。片方はビットマップ、片方はオブジェクトということでしょうか? この絵にはビットマップとオブジェクトが「同所配置」されているわけですから……。
 いえ、それを言うなら「オブジェクトが二個」という、「最初のビットマップ」という事態、さらにはオブジェクトとビットマップのキメラとしての「二声のポリフォニー」の図示であると考えた方がスマートかもしれません。つまり二個の点を含んだ一個の円というこの図形は、二を一に昇華する弁証法だと考えてもいいのです。それはまったく二点透視図法(立体視)の二つの消失点と相同ともなるわけです。つまりこの図は、新年の賀状に託した形而上的な世界風景の図だったわけです。