1997年06月のまるちめ日記(97.06.01〜97.06.30)
97.06.01(日)
数時間眠り、日曜だがつかのさんといけまつさんに来てもらって搬入日前日の個展準備。オープニングで配布する予定の「二声のポリフォニー」小冊子を増刷後、今朝未明に作業内容を細かく決定したクラシック3台の作品(行当り字数可変絵画第一番〜第三番)のデータ作成作業をしてもらう。一方タワシは朝パソイラスト。引越問題は結局現在のところをそのまま更新することに決定。昔は引越大魔王だったが今回のところは居座り5年目。クラシックの作品は始めてみたらかなり膨大な時間を要することが判明、これはまずいと助っ人求めて方々へTEL。結局、つかのさんの知人の須田さんが急遽手伝ってくださる。有難い。電話とE-Mailでのやりとりで、一番作業量の少ない「第三番」のデータを6時間半ほどで完了。風邪で声が少しおかしいつかのさんは「第一番」の単純作業にはまってアロ泊。そして一番作業量の多く気遣いも大変な「第二番」を担当してもらった池松さんは、いしはらみどりさんに明日手伝いに来てもらうよう手配してくれ、これは安堵材料。それにしてもタワシのモニタ2台の作品、やっと試行錯誤開始してみたら思ってたより大変。作品の目的である「対位法」どころではなく、そもそものアイディア原理自体に欠陥があったかと思うほど。しかしLingoの整備を重ねていくうちに、ハード的な作りとしては、夜2時頃までには一応何とかさまになるようにはなる。さて内容が問題だ。
97.06.02(月)
一昨日入稿したプリントアウト群一式がバンフウから朝届き、開けてみたら「音の心」「単一曲線2本の同時プリントアウト」とも、指定段階の大失敗。特に単一曲線の方は一瞬白紙と思うほどの、ほこりレベルの超超極細出力。4000dpiイメージセッタの威力には感心しつつも、慌てて両者とも指定し直して再入稿。19時前には届けてくれるとのこと。
昨晩中に「行当り字数可変絵画第一番」データのなんとかなったつかのさんには、今日一日中搬入関係の雑用をきびきびとやっていただく。タワシのあいまいな指示でも、的確にこなしてくれて助かる。いけまつさんといしはらさんには、おそろしく膨大な単純作業の「第二番」に引き続き取り組んでもらう。一方タワシは、この忙しいのに自分の名刺デザイン。名刺はずっと切れかけてたのだが、自社サーバの様子がわからなかったのと、更新を機に引っ越すかもしれなかったので、今日まで作れなかったとゆわけだ。おそらく明日から大量に必要。グラフテックから7m10cm長のロール紙プリントアウトの作品(「4760個の変曲点のある単一曲線」)届く。すでに受け取っていた60cm幅のではなくこちらは指示通り90cm幅のもの。昨晩手がけはじめたモニタ2台の対位法作品には結局手が付けられず。5Fにデジネンと一緒に展示する予定の「色光の640声ポリフォニー」動画作品群は、すでに静止画素材はまるちめ日記添付ビジュアル等として揃っているのだが、ちゃんと動画化したのはまだ一個もない。ので第一番のみ作ってみる。特に問題なかったため、後は会場で仕上げることにしよう。18時過ぎにバンフウ届き、今度は大丈夫。
19時過ぎに搬入用のバンをレンタカーから借りてきてからやっと手が空き、宿願だったデジネン展示用のビデオ落とし。どゆ事かとゆと、サブの会場の5Fに展示するデジネンは、アプリケーションの状態で自由に触ってもらうマックとは別に、ただアプリ上で鑑賞するさまを写したビデオも置いておこうとゆのだ。つまりここのとこつかのさんに指示出ししながら作っていたミニマル的・フラクタル的・色彩の立体モアレ的作品群はビデオ化もしておこうとゆ魂胆で、それを今泥縄式に録画しとるとゆわけ。具体的にはつかのさんがマウスを握り、タワシが口頭でやれスライスとかビューワーもとかうるさく言いながらの、実は楽しい一発録り。タワシが喋る音声も録音しておけば面白かったかもしれない。つかのさんの握るマウスカーソルがせわしく動いているとすれば、それはタワシの指示が不完全で、「次どうするんですか」とゆつかのさんの急ぐ心境の現れである。15分ほど録画。
さて、もう20時を回ってしまった。みなで機材の積み作業。搬入の最中にIIcxが動かないこと発覚。これは「色光の640声ポリフォニー」動画作品群展示用にと考えていたのだが。ほかにマック用の台の机や、会場での作業用にML801プリンタ等いろいろ積んでいたら遅くなり、出発21時。バンとアロ車の2台。社1Fに残す機材はサーバ用のQuadra700のみ。みなさん車内のコンビニおにぎりごはんでスミマセン。
遅くなって会場に着いたら遠藤さん以外にスタッフの岡本さん、手伝いの上田くんがスタンバッててくれて、機材降ろしに強力な威力。特に5F・6F用の機材を階段で上にまで運び上げる作業が大助かり。以前もお会いした岡本さん、そう言えば4年ぶりくらい?
メインの1Fは、左壁用のライトボックス二台は明日ロイヤルさんが持ち込んでくださる予定で、また右壁と真ん中の柱壁に貼るプリントは明日の作業ってことで、クラシック3台の作品と、モニタ2台の色光ポリフォニーの作品(これはPowerMac6100で動かす)の台座&ハード類設置まで完了。参考出品のつもりの5Fと6Fのサブ会場に関しては、まず5Fはここに持ってきても相変わらず動かないIIcxは、きっとこの作品は出さなくてもいいとゆ思し召しだろうってことで出品を諦め幾分か心地が楽になる。しかもデジネンアプリ展示用のPowerMac7500と、デジネンビデオ展示用のテレビモニタだけでスペースが埋まってしまった。螺旋階段の上の6Fは、奥の丸くなったスペースに「不可視関数試論」簡易バージョンを設置。そのための台など実は一切考えてなかったのだが、たまたま会場の備品としてあった、椅子と小さな台の一体になったもの(遠藤さんが出してくださったがもともとはどなたかの展示に使われた作品の一部だったらしい)が、マウス操作にもちょうどいい塩梅。
PowerMac8500と「手前」のマルチスキャンモニタは床置きで、「奥」のテレビモニタは会場の備品の台で無事解決。ちなみにこれが「簡易バージョン」なのは名古屋のオリジナルバージョンとデータの中身は全く同じだけれど電光掲示板がないのと、「手前」モニタがタッチパネルでなくマウスで操作しなくてはならないなどという意味。本当はこれを機に中身のデータもちょっとだけ直したりいじったりしたい部分もあったのだけれど当然?間に合わず。6Fの備え付けの机に売り物の過去のポストカード類も並べてみて、5Fと6Fは今日中にほぼ完了して気が楽だ。
終電でいけまつさんやNWの方々はお帰りになり、ちょっと残って作業もらっていたつかのさんにはアロ車で帰ってもらって(<みなさんおつかれさま)、引き続きクラシックの「行当り字数可変絵画第二番」データ作りのためいしはらさんには残業してもらい(<ありがとござます)、タワシは1Fの6100でモニタ二台の色光の作品のデータ作り。完成してないが4時ころにはいい加減眠くなり、いしはらさんをバンで送ってIIcx持って帰るが地図無く結構時間かかってしまった。
97.06.03(火)
朝10時NW集合で今日一日は会場設営。つかのさんとNWの方々とでまず7m10cm長、90cm幅のプリント作品(実際の印字部分はジャスト7m)を壁に貼る作業。裏に両面粘着テープを貼り壁に直接。水平線決めたり皺が出ないように気を使ったり。左端から貼って壁の角で紙も折り曲げ、ずっと貼っていったら計算通り右端はドアからちょうど15cmのところ。
近くの中華屋で昼食とり、いけまつさん、そしていけまつさんが呼んでくれた友達のひらおかさんも来てくれて彼女らにはクラシック作品の文字データ作りを引き続きお願い。RTロイヤルさんがライトボックスの作品二台(「二九字二九行の文字座標型絵画第一番・第二番」)持ってきてくれて設置するが、タワシも自分で驚くほど素晴らしい出来。カッティングシートは予想通りとても鋭利な切れ味。電気が点いた瞬間、一同しんとなって作品の佇まいに圧倒される(気がした)。ロイヤルさんありがとう。点灯しておくととても会場が明るくなり、通りがかりの人が大勢覗き込んでいく。実際外から会場を見てみると難解な漢字ばっかりの電飾が室内で煌々と光っていて、一体何事かっ!てな感じ。こゆ感覚に襲われることをこそ望んでいたのだ。
作品の正式名称と値段とを遠藤さんと相談しながら決める。名称の方はかなり具体的にあらかじめ考えていたのだが、値段の方はCGプリントアウトということもあり、決定がなかなか難しい。しかし大体タワシの考え通り。昨晩から気になっていたモニタ二台の色光作品の位置は、最初の案を変更して奥の壁のトイレのくぼみにはめ込むことにする。そして昨夕バンフウから上がってきたB全プリントアウト二枚を真ん中の柱壁に貼り、あとはライティングをどうしようか? 電飾ライトボックスが青白い光だけれど画廊の照明ライトは黄色い。いっそのこと照明ライトはなくして電飾の光で右側壁も照らしちゃおうか。その方が皺も目立たなくて綺麗だし。……と、モニタ内完結データ作品ではまるで気にする必要のない問題が、プリントアウトされ「もの」化した瞬間沸き起こる。
バンフウに試しで依頼した同データの「パネル加工」は、仕上がりを見たら単なるミラパネで今一つ。もともとプレゼン展示会用で、美術の作品展示用ではないのだろう。夜にはほぼ設営も終わり、つかのさんに常時放映用にデジネンビデオのダビングテープを作ってもらい、また商品関係のもろもろも済ませてもらい、あとはクラシック文字データとモニタ二台の作品内容のみ。それと昨夕よりメールチェックしてないので会場5Fに引いてある電話回線で通信してみてE-mail見れるか確認したりとかで夜12時を回る。今晩はもう疲れきってしまったので、モニタ2台の作品は明朝作業することにし、終電過ぎてるのでつかのさんにはタワシを経堂まで運んでもらってからアロ車で帰宅してもらう。みなさまおつかれさまありがとう。おかげさまでなんとか展示はさまになりそうです。
97.06.04(水)
個展初日。朝早くからの予定がつい画廊着9:30am。今までLingoで組みかけていたモニタ2台の「色光による二声のポリフォニー」は、ぐっと確実度を高めるため今さら方針変更し、Lingoはgo toしか使わずあとは視覚的な確定スコア。これだと作業も楽になり、構造的には今日一ノ瀬姉弟に初演していただく文字列の「二声のポリフォニー」と同じとなり一貫性も出る。実は昨日この考えに至っていたのだ。作業は簡単なはずだが、画廊にいるとお花や祝電が届いたり電話が鳴ったり等で、なかなか進まらない。
本当は用があったはずのいけまつさんがお昼前に画廊に来てくれて、小一時間ほどの作業でクラシックの「行当り字数可変絵画第二番」完成。いやぁ有り難う。よかったよかった。失敗が途中であると台無しになるようなデータだっただけに、無事完成できた上に開廊に間にあった! いしはらさんや平岡さんによれば、膨大量難解漢字配置単調作業でいけまつさんは「もうやばいかんじ」「精神に変調が……」だったそうだけど大丈夫でしたか?
あとはタワシのモニタ2台の作品のみだが、作業中についに開廊の13時を回る。早速TVウォッチャーのペリー荻野氏(いつも「鳩よ」でイラスト付けさせていただいている)が芋ようかん持って現れ、初対面なのにスミマセンまだ作業中で(トホホ)。そして14時過ぎモニタ2台の作品は全10曲のランダム順完全演奏という形式に落ち着いて完成。のあと泥縄式に再度照明チェック。昨日は電飾の光だけで右側壁も綺麗に見えたのだが、今日見るとどうも暗すぎるためやはり右側も照らす。
一ノ瀬氏に依頼されたMAXのCDジャケは締切が早まって今日となってしまったので、ごめんなさいデザインワークは降りさせていただいていたのだが、しかしお渡ししたアートワークのCMYK変換の件で何度か電話いただく。その一ノ瀬さんは、御姉様と一緒にリハのため16時半ころ画廊着。お二人ともちゃんと演奏家スタイル。リハは会場の反響音もありすごくいいかんじ。計ったら3分ちょっとしかないが、とても長い3分。では両氏には喫茶してもらって、本番は18時ちょっと過ぎくらいからということに。もうぼちぼちお客さんも来ていて応対もせわしないが17時過ぎにタワシは画廊を抜けだし、一番近い理髪店で伸び放題だった髪をばっさり。指示出しうまくゆかず残念ながらあまりいい出来ではない。季節感を演出する雨もやんで曇空。18時前に画廊に戻るとアスク様社長以下ご一同様やデジタローグの方々、CD-ROM Fan寺谷氏ほかほか、もう沢山の方がいらしてる。写真をお願いしている黒川氏と打ち合わせも済ませ、18時20分頃、いよいよ一ノ瀬響、一ノ瀬トニカ両氏の演奏による中ザワヒデキ作曲「二声のポリフォニー」初演。一度に入りきれなかったら二回に分ける予定だったが、なんとかいっぺんに入りきる様子。楽譜の小冊子も配り終わり、音楽会らしくいきなり始めてもらおうと思っていたのだが、急遽タワシが一言喋って挨拶。いざ演奏。人が沢山入っているのでリハの時のような反響音はない。終わってまた一言挨拶し、あとはオープニングパーティーモード。響さんトニカさん、本当にありがとう。おかげさまでとても素晴らしい初演となりました。一回で収まったというのも初演らしくて良い。
なんとオープニングにもとみやが新しいオスの小ぱぐ連れてきてるとのこと。予想してなかったが、意外なわけでもない。そういえばもとみやはいつもぱぐ族の仲間を増やしたがっていたのだ。ぱぐちょが来たのは昨年春のもとみや個展のときだったし。車の中を見てみるといるいる、2カ月のぱぐ。小さい。昔のぱぐちょとおんなじ。面白い。名前は何がいい?
タワシにとって個展は随分久しぶりなのだが(ファインアートとしては初めて)、いつものように沢山の久々の方々とお会いし挨拶・応対に追われる。披露宴などと同じで本人が一番大変で、ビール飲む暇もないのだ。おもてなしの食べ物は画廊側から岡本さんと石川さんで用意してくださったもの。「線の方も文字なのですか」と質問された椹木野衣氏は「広告」誌5000字文章読まれて来てくれたとのこと。
二次会は近くの串焼屋で、入りきれなかった方、ごめんなさいね。
なお祝電くださった方、どうも有り難うございました。また、事前に連絡をいただいた方にはお断りしてしまいましたが、お花をくださった方やくださろうとお気遣いいただいた方、まことに有り難うございます。それからみなさんの前で披露するよりはむしろ展示扱いとさせていただいた電報は、プサイという名の差出人からのカタカナ列。これは松澤宥氏からのもののはず。
97.06.05(木)
通常通り10時始業。社内は機材をあわただしく持ち出したままの殺伐たる風景。昨日の「二声のポリフォニー」初演をテープで聴いてみたらすごくよい。実は後から思った反省点としては、やはり挨拶なしでいきなり演奏を始めるべきだったことと、それから演奏中のカメラはシャッターも禁止にすべきだったことがあったのだ。フラッシュ禁止シャッター可としていたのだが、シャッター音て意外と気になったので。しかしこうしてテープで聴くとそんなことはうどうでもよく素晴らしい。音質が決していいわけではないウォークマン録音だが、SVHSCでビデオ録画したものよりなぜか音楽っぽくて良い。ダビングして商品化しようと思い立つ。こらぽんちょ、うんちはちゃんとトイレでしなさいっ。てことで、ぱぐちょの弟分はぽんちょと呼ばれる。昔のぱぐちょと同じようにせわしないが、変なダミ声で目つきもなんか違う。
NWは13時から20時までが開廊時間だが、13時05分につかのさんと到着したところ、すでに国立近美の千葉成夫氏がいらしてくださっていて、熱心にタワシの説明を聞いてくれる。ほかには博報堂「広告」誌の杉本編集長と池田氏いらっしゃるが、まだお茶をお出しするスペースとか態勢整ってなくて、ゆったりしていただけずスミマセン。婦警さんに駐禁とられたりとか、なんだかんだと雑用多し。会場でEmail確認したら昨日来ていただいた方々から沢山感想が入っていて、ありがとござます。
97.06.06(金)
ジャケのイラスト仕事した阿久悠氏のCDが届いてる。バチッとしたデザインのおかげもあり、思ってたよりいい出来となってて嬉しい。「二声のポリフォニー」ダビング作業。タワシの前半の挨拶はカットし、演奏とその後のタワシの挨拶を入れてちょうど5分。昨日買い置きした10分テープ片面にちょうどよく入る。われわれは13時すぎに会場に到着し、カセットに貼るシールなど作りつつ接客もしつつ。やっと今日あたりから態勢整い始め、6Fにお茶だしするスペースもでき、落ちつけていいかんじ。大学時代のサークルの妹尾先輩ご一行(10人くらい)いらっしゃり一緒に食事。
97.06.07(土)
文字にやたら愛着を持ってるらしい看板文字のプロの通りがかりのおじさん(山口秀夫氏)。今日はいい天気なので登山するか東京に行くかしようとふらりと長野県から出てきて、結局中央線乗って新宿で「ぴあ」買いやって来たという人(マツモトアートセンター北澤氏)。以前から通りがかるたびにこの画廊に入ってみようかなと興味はあったけど、今日初めて入ってみたら、なんと売っていたタワシのポストカードはすでに買って持っててびっくりしたという主婦。オープニングの時に通りかかってとても興味があったのだけれど、混んでて入れなかったという早稲田の学生さん。等々、表通り沿いの画廊とはいえたまたま入ってくる人多い。ちなみにプレス関係は「ぴあ」にとてもわかりやすくばっちり告知していただき、見ず知らずの人からの問い合わせも多い。白坂さんありがと。「スタジオボイス」では鈴木真子さんが彼女なりの視点で自由に書いてくださり、いつものことながら氏の文章は読んでてこっちがとても嬉しくなる。「Hanako」ではほんのちょっとのスペースだが、それでもぴあやスタボイと並んでハナコ見て来ましたという人も少なくない。雑誌メディアの力ってそれほど最近感じてなかったのだけれど、今回は切に感じる。今日はつかのさん休みで応対等ちょと大変。しかし彼女は久々の休みのはずなので、ゆっくり休んでくだされ。
97.06.08(日)
久々の洗濯物だが雨降らないといいが。今日はつかのさんに出てもらい、画廊には12時前に到着してタワシは「色光による2声のポリフォニー」のスコアを少々いじり、マイナーバージョンアップ。日曜だからか、印種で知り合った方々や以前からの知人も多く来られる。松澤展以来の朝日新聞田中三蔵氏にいろいろ解説。なお「中村と村上」大阪展以来の鈴木倫太郎氏によれば、マックでのサーバ立ち上げは目を覆うほど大変とのことでつかのさん同情される。Quadraサーバのうちのaloalo.co.jpは、つかのさんのおかげでメールサーバまでちゃんと動いてるのだ。寒く、雨となる。
97.06.09(月)
デジタローグの丸ちゃんに限らず「不可視関数試論」にひとしきりはまられる方多し。英国留学中のまえださんからConglatulationsの謎かけクイズハガキ届くが、「不可視」に入ってるまえださんの声が会場でしょっちゅう鳴り響くせいで、あまり遠くにいる気がしない。なかなか途切れない客間を縫って、遅々と各種但し書き、説明書き等の整備。川崎市民ミュージアムの佐藤さんには音響関係のこといろいろ教わり、一緒にいらした角田さんは、相当以前にタワシがガロで書いた翻訳の誤変換の名文(迷文)の出所先生だったそうな。
97.06.10(火)
今日は画廊休廊日。久々にアロアロでの業務。ニュースは食器洗い機の導入。これは自動洗濯機と同じように便利なもの。種々雑用はかどり、悲願だったaloalo.co.jp内のwwwの立ち上げを、朝方までかかってなんとか完了。これは本当は個展オープンに間に合わせたかったこと。タワシの新ページは「中ザワヒデキ網上楼閣」と命名。今度のサーバソフトはindex.htmlでなくindex.htmlの体系。
97.06.11(水)
朝方作ったwwwデータがちゃんと見れるか確認してから代々木の不動産屋行き更新手続き。道渋滞し、直接画廊に行かせたつかのさんをNWの前でかなり待たせてしまう。11時半に到着し、昨日思い立った7m作品貼り替えの大作業。今まで90cm幅のロール紙プリントアウトを壁に貼っていたのだが、どうも皺ばかり目立ち肝心の極細線が見えないので、最初の案通り60cm幅のものに貼り替えるとゆ作業。こうすると作品の細長さも強調できる。壁の折り曲げ部分では前回のようにゆるゆると曲げるのではなくきっちりと折り目をつける。前回は5人がかりだったが、今回は気合いで2人で手早く作業。遠藤さんビックリされるかしら? さらに会場をビデオ録画などしてたら開廊時刻を回り、うるまでるびるびでるさんご一行見える。入院中のるびでる氏は病院から内緒の抜け出し。いけまつさんが強烈なハンドメードのゼリー状物質持って来廊。スタボイ誌の連載ネタとのこと。スージー甘金氏いらして、パソコン雑誌で氏が連載してるページの取材。NW前回展の高柳恵里氏は作品同様とても面白そうな方。諸泉茂氏にはこちらが舌を巻くほど鋭く理解していただく。夕刻黒川未来夫氏にカメラマンとして来てもらい、会場撮影の第一回。5F6Fは完了。1Fの「色光による2声のポリフォニー」の位置を改変。結局これも最初の案通り柱壁の前に持ってきたら、断然フォトジェニック。遠藤さんビックリされるかしら? それと、トイレの鏡に自画像プリントアウトをこっそり貼る。これは今年初頭に試行錯誤しながら作った最初期の文字座標作品で懐かしいが、半年で随分タワシも進化した。午前一時半くらいまでで今日は撮影打ち切り。
97.06.12(木)
晴れて暑くなり医者時代の先輩やらイラストレーター時代の友人やら編集者やら、各分野から大勢いらっしゃる。アスク中村氏には「不可視」の数値表示を面白がっていただく。初対面の北小路隆志氏が意外と若い方で驚く。テキスト優位かとか「現代美術コテンパン」の話などする。朝パソ見沢氏も実は初対面。久々のイラストレーション誌吉田氏が「暑くて中ザワさんの脇毛が見えるんじゃないかドキドキしながら階段登ってきました」と言うので、1Fに7mの脇毛があったでしょうと答える。長大プリントアウト自体に驚く高田よーこちゃんやTeachTextデータにいたく感動したとゆ関口氏等、ハード面の理解もされてる様子。鷲見麿氏石川翠氏スナイパーらご一行もいらっしゃり一緒に夕食。
97.06.13(金)
早朝起床しほむぺじ業務はちゃんと画像まで入れ込む。母のおかげの英訳文も入れ込む。一昨日の状態だとまだ告知するのははばかられたのだが、まあこれならいいだろう。中心はもちろん現在開催中の個展の情報。アロ車でのNW往復中、途中でいきなりカーオーディオのカセットデッキがいかれてしまう。
6Fの机上商品群の隣に「四〇六〇たしまきだたいを報電りよイサプ」とだけ書いて例の電報を展示しておいたのだが、「これは松澤先生ですね」と語る方いらして、どなたかと思えば以前岡崎球子画廊にいらした長井直登氏。16時にやっと客間を見て画廊から多人数宛に告知メール発送。つまり「1.個展開催中です/2.自社サーバ立ち上げメールアドレス等変更しました」。リストはあらかじめ住所録から作っておいてもらったもの。17時アイコン誌の取材で松井英樹氏いらっしゃる。氏は昨日も実は見に来てくれてたのだとのこと。設計工場高橋氏、東京アートスピーク原万希子氏らもはまられ、また音響詩の足立智美氏はポリフォニーの楽譜等に、西山美なコ氏はポストカード等を面白がってくれた様子。昨日いらした北小路氏がBT誌展評欄に書いてくださることとなり、遠藤さんも大喜び。後で確認してみたら午後に送ったメールは46通くらい不達だったようだ。夜間は黒川くんによる撮影第二回。時間のかかることで有名らしい氏の撮影は、しかしそれが一種のパフォーマンスでもあり見てて面白い。この作業の進め方の感じは何かに似てると思ったら、プログラミングと同じなのだった。つまりどちらも本質は「課題の解決」。たとえば左が青白い光の発光電飾、右が極細曲線が一本あるだけの長大ロール紙で黄色光に照らされてるとして、両者を人間が見た感じに近く、同じような白さに撮るとゆ難題。全然朝までかかってしまい、明け方は燦々とした陽光をさえぎるために通りから黒いラシャ紙で画廊を覆うなどする。どうしても眠くなってしまい椅子の上でウトウト。やっと9時半に終了。黒川くん本当にお疲れ様。
97.06.14(土)
「二声のポリフォニー」テープがうっかり在庫切れしてしまってたため、撮影終了後ダビングに必要なダブルカセットデッキをアロアロまで取りに帰る。今日はつかのさん休み。結構道は渋滞していて、アロアロでは睡眠とる間もなくシャワー浴びてすぐまたNWへ。接客しつつダビングしつつ。松井みどり氏大変な深読みをしてくださり、デリダとかライプニッツとかいろんな名前を引き合いにしながらタワシの作品を面白がってくださり、病気で顎を痛めてるというのによくお喋りになる。天野一夫氏もいらして、氏なりの特急テンポでいろいろ解説させられる。天野さん松井さん遠藤さんとで食事。天野氏は次号の北小路氏と交替で次々号からBT展評欄を担当されるそうで、その第一回にタワシの個展を取りあげようとしてくれていたらしい。次号に北小路氏が書いてくださることになってたので、ではその次の個展の時は予約させてねと有難いお言葉。松井氏もBTの同欄担当されてた方なので、そんな話題に花咲く。
97.06.15(日)
開廊直後の暑さの中を岡村多佳夫教授来廊。ポリフォニーに対する言及の意図などDMだけで充分伝わってたらしく、学生たちにも来るよう勧めてくれてるのだとのこと。母来てくれ、英訳文このように作品中に使用させていただきました。高校卒業以来の中西くんは超びっくりで、中ザワってやっぱり中沢だったかと。たまたま来日してた平川典敏氏は風貌が予想してたイメージと全然違うが、氏も理解のテンポが速く、デジネンなど瞬間で、わからないけど面白い、だけれどこれはどうので、こうなんですかと矢継ぎ早に鋭い質問のマシンガン。MOT平野さんや、ほかに美術館関係では国立近美の方々が入れ替わりいらしてくださってるようだ。つかのさんにデジカメ買い出しの指示し、佐藤理氏や十数年ぶりの清代氏らと食事後、SVHSCで30分会場録画。展覧会期も最後の方になると、タワシの自己作品解説もだんだんうまくなる。でもこんなわかりやすい内容なので、(5F6Fの機械群以外は)本人の解説は本当は不要だとも思っている。
97.06.16(月)
最終日。つかのさんに昨晩買いに行ってもらったOLYMPASのデジカメとSVHSCで午前中に会場撮影。なんだか開廊前に入られようとする方多いがごめんなさい撮影中なのです。開廊後最終日も山のにぎわい。初対面の「しべ通」作者氏ウォッカ有難うござます。今度コサックダンスしましょう。そしてさるすべり様らご一行現れ、これはちょうどいい、交渉して少女まんが館(女ま館)を急遽トランクルームがわりに作品置き場として利用させていただくこととする。ぱらねもNETにつながれず相談できずにいたのだ。そしてタワシは第十の女ま館世話人となることが決定。少女まんが、それほど詳しいわけではないのだが皆さんよろしく。最終日18時終了で、思ったよりすぐ人捌け、岡本さん上田さんも一緒に搬出作業。RTロイヤルさんにもまた来て手伝っていただいて、20時頃には荷積め完了。搬入日の昼食に利用した中華屋でみなで食事し、みなさん本当に有り難う。おかげさまでとても楽しく個展ができました。遠藤さんも「この企画大当たり大ヒット」と言ってくださる方何人かいらしたとのことで、よかったよかった。そして最後に画廊戻りぱわぶくで個展情報ホームページを一同にお見せし、車三台で経堂着いたのが24時前。レンタルのバンで明日ライトボックス作品を女ま館にもってく計画が、ロイヤルさんの車からぎりぎり積み替えができない。ロイヤルさんの本当ご好意で、今から急遽女ま館にもってくことにする。超遠い武蔵日ノ出町だが、ロイヤルさんのバンとアロ車と二台で夜中2時すぎには当地着き、部屋の一角に置かせてもらい(結構スペースとった)、つかのさんは方向が同じなのでロイヤルさんにそのまま送ってもらい、タワシが経堂戻ったのはもう夜が白みかけてから。
97.06.17(火)
どっと疲れ気分。もとみやは国際解剖学学会とやらに出るためオランダに向け出国。昨日遅かったのでつかのさんの出社は14時とし、もろもろの片付作業。パグ同士は一緒に寝てたりじゃれあったり、仲良くなってて、2ぱぐのポリフォニー。スタボイ誌にナンカロウの事書く。そして日記書き。
97.06.18(水)
数時間眠り日記書き上げビジュアルは「色光による二声のポリフォニー」の縦書き楽譜とする。夕刻来アロされる予定だった貝瀬氏、超大変な状況らしく来れないが電話でいろいろ話し合う。
97.06.19(木)
鳩よイラスト。「広告」誌の5000字連載は、今回は個展出品作の解説中心の「ビットマップとオブジェクト」。これは21日のレクチャーネタを兼ねる予定。黒川氏の撮ってくれたポジ群バッチリな仕上り。すごくうまい。
97.06.20(金)
台風。眼科後東大で開催中の「プラスティネーションの拓く世界」展(もとみや企画に関与)見にゆくが、なにしろひどい風雨でびしょぬれ。帰ったら2Fベランダ排水口詰まり、2Fが床上浸水してつかのさん大変だったとのこと。渋谷センター街のアーケード看板も落ちたそうな。しかし台風過ぎ去り夜は月まで出るが、明日の準備を兼ねる5000字連載の原稿のため、弦人氏の「松本弦人の仕事と周辺」出版記念パーティーには行けずごめんなさい。広告出稿までしたのに。でもご出版おめでとです。
97.06.21(土)
つかのさんに14時に来てもらい、クラシック3台積んだりしてATOM現代美術研究所で18時半から講演会。「ビットマップとオブジェクト」と題して個展出品作のスライドお見せするが、なかなか時間かかってしまう。広告誌の池田氏やNWの遠藤さん岡本さん上田くん、音響詩人の芳賀さんや藤崎・藤原さん達も来てくださる。古屋氏深山氏にはよく意味のわからない質問をされたが、打上で話をして少々理解。「デジタル新大陸はまたも二項対立を繰り返すのだ」という諦念について、タワシがもっとちゃんと説明しておけばよかったことのようだ。
97.06.22(日)
気になってた荒川修作「意味のメカニズム」展観に軽井沢セゾン現代美術館まで往復。5000字文章続き。
97.06.23(月)
朝パソイラスト。5000字。いけまつさんに膨大な名刺入力作業をしてもらう。つかのさんにぱぐ達を動物病院に連れてってもらい、食餌法を変える。
97.06.24(火)
5000字文章はなんとか片を付け、図版用意も済ませ、11時に広告誌池田氏来アロし入稿。昨晩から原因不明のサーバダウンしていたaloalo.co.jp回復し、「個展開催中」などとなっていた網上楼閣をマイナーチェンジ。そして14時過ぎに車で成田まで。暑い日だ。今日から7月頭までタワシはドイツ・イタリアを現美&古美術鑑賞の旅。つかのさんぱぐどもと留守番よろしく。17:25のキャシーパシフィック便で香港経由フランクフルト行き。機内のスチュワードさんどうしてタワシの時だけ中国語で話しかけるの? 21時頃トランジット・イン・返還直前の香港。クレジットカードでアロアロの留守電にTEL入れるが、なぜか香港に今いる中村政人氏にはかけられず。23:20の予定が小一時間ほど遅れて出発し、機は香港の夜景を後にFFへ。
97.06.25(水)
香港時で8時半am(日本時9時半)目覚め少し窓を透かすとちょうど日の出直前。ぱわぶく起動しコンパネ「世界地図」でベルリンに合わせると0時半am。日本との時差8時間。のはずだが夏時間なので時差7時間でarrival timeは1時半amとなり辻褄納得。透かした明かりで日記書きなど。機内で火星人ネタのくだらん映画やってる、と思ったら今流行ってるらしいMARS ATTACK。そのうち明かり解禁で朝食。
さて、早朝5:30着のフランクフルト。聞いてた通り寒い。時間調整のためゲーテ館を観てから念願のMMK美術館。MMK初めてなのです。Vija Celmins。素晴らしい。ゲルハルト・理非ター。ビットマップだった。3時間ほど電車に揺られてミュンスター行き、日本から予約したホテル書いざー保父でちゃんともとみやと落ち合う。
97.06.26(木)
10年毎開催のミュンスター・酢かるぷチュア展。日本からは曽根裕氏のみ参加。池内務氏に道でばったり出会う。雨は一日に何度も降ったりやんだり。館内展示観賞後、野外展示を見にかなり歩き回る。レベッカ・ホーン。ポリフォニーだった。Karin Sander。へんぴな場所に赤丸が埋めてあり、市の重心とのこと。もう一泊会ざー保父泊。
97.06.27(金)
朝すぐの電車でカッセル行き、documenta X展。前回のIX展観たのが5年前。今年は小規模で野外展示も少なく、ま、前回の方が面白かったかな。曽根裕氏西原みん氏に出会う。見ましたよ昨日曽根さんの誕生日ビデオ。19時発のユーロスターでフィレンツェに向けて出発。ヴェネツィアに先に行きたかったのだが寝台車が出てるのはフィレンツェ行きのみとゆことで。それにしても車窓からは夏時間夜9時の高緯度日没。途中駅で2等の寝台特急に乗換。
97.06.28(土)
どうも明け方から同じところに電車が停まったまま動かないと思ったら、やがて騒々しくなりThere is problem. Get up.の声。大雨で川が増水し電車が山を越えられないとのこと。パスポートが各自に返されて、ここはもうイタリアの様子。バスで運ばれて反対側に待機していた電車に乗り込む。やっと動き出した電車は、しかしのろのろとしか進まない。ベロネーゼ駅で急遽乗り換えることにし、最初の予定通りヴェネツィアへ向かう。電車内で次なる作品の構想等。
さて、初めてのイタリアの、水の都ヴェネツィア・サンタルチア駅着はもう午後。インフォメーションが空いてたのでついそこで宿決めてしまう。ところがその決めた宿を探すのに時間かかり、しかもたどり着いたらあまりいい宿ではない。ドイツと違って暑く、電車内で半ズボンにはきかえておくべきだった。イタリア人め、マイペースでよく喋りやがる。イタリア語は感情移入しやすい言語か。
97.06.29(日)
コーヒーと頼んで出てくる濃いエスプレッソはとてもタワシ好み。今日の予定はヴェネツィアビエンナーレことBV'97。先にサン丸子広場でValporoを降りBV関連のキーファー展。そして会場に行ったら、なるほどこんなかんじなのか。Future Present Past部門はいいのだが、国別の館回ってると、なんだかNYの画廊巡りの気分。森万里子が人気とゆのはうなずける。日本館の内藤礼は一人ずつしか入れず、行列だったのでパス。そのあとペギー・グッ限は医務美術館行き、開催中の展覧は素チュワーと・デービス。
97.06.30(月)
昨日で現美の行程は終わったので今日から古美術巡り。まずアカデミア美術館行きヴェネツィア派絵画の大コレクション見るが、なんといっても女留じょーね。ベリーニなどとは精度の桁が違う。勿論ティツィアーノのピエタも流石。てぃんとレットも良い。その後ドゥッカーレ宮殿行きてぃんとレットの巨大画面がぴたりとはまってるところなど見るにつけ、美術品の本来の展示のされ方はこうだったのかと思い知る。美術館なんて仮設の架設だ。地下牢で時間食ってしまいValporoもぎりぎりで、宿戻り超重いキャリングバッグひきずり走って電車にぎりぎりで飛び乗り、先に駅に入り電車で待ってたもとみやをはらはらさせてすまんでした。そして電車はフィレンツェへ。空腹だったが、途中で食膳台車回ってきてラッキー。Something to drink or something to eat? Both. 夕方到着し、もとみやにマクドナルドで待っててもらって足で探したErina Hotelは安いのに断然今までよりよい宿。室内調度もいちいちセンスよいイタリアデザイン。チェックインしてすぐ出かけ、フィレンツェの街並みも綺麗。ヴェネツィアより少し寒いが、ここでも女性の8割はへそだしだ。日本では見かけないゆったりしたパンツやソックス沢山購入。夜久々に余裕出たので日記書きなど。