<「方法」と「新・方法」>アンケート所見


今年度前期、私は立教大学で<「方法」と「新・方法」>と題した表象文化の講義を担当した。講義終了時に実施された「授業評価アンケート」の所見票が、学生と教職員向けに大学のウェブサイト上に先日公開された。関連リンク先ならびに所見票内容の一部をここに公開する。

2013年10月14日   中ザワヒデキ


関連リンク先

立教大学ニュース http://www.rikkyo.ac.jp/news/2013/10/13437/
「学生による授業評価アンケート」所見票について http://wwwj.rikkyo.ac.jp/kyomubu/etsuran/top.html
所見票の閲覧(IDとPWが必要) https://wwwj.rikkyo.ac.jp/syoken/etsuran/ST011000.aspx


所見票内容の一部

授業評価に対する担当教員の所見

 芸術の本質は教育とは相容れないと私は考えており、その信念を曲げることなく臨んだ講義だったため、私のやろうとしていることがわからなかったり反感を抱いたりする受講者(=立会人)は多かったはずである。また、そうでなければならないものでもある。
 ところがこの「授業評価」を数字で見てみると、ポイントが予想に反して意外と高い。その第一の要因は、しかし、履修者数(31)に対して回答数(11)が圧倒的に少ない、すなわち欠席者が多いというところにあるだろう。私の講義を面白がり出席し続けた受講者のみが回答しているから、数字的にはさほど悪くない結果となったにすぎない。
 とはいえ、もうひとつ言えることもあるだろう。それは、美術界においてさえ難解として敬遠されがちな立ち位置の私の講義に、僅かではあっても一定の受講者がついてきてくれ、さらには積極的に関わってくれたことだ。それはこの「授業評価」の数字からだけではなく、公開可能性を前提に私が受講者に課したレポート(=立会記) http://aloalo.co.jp/nakazawa/2013/08r01j.html からもみてとれる。

記述による評価に対する担当教員の所見

 芸術の本質は教育とは相容れないと私は考えており、その信念を曲げることなく臨んだ講義だったため、私のやろうとしていることがわからなかったり反感を抱いたりする受講者(=立会人)は多かったはずである。また、そうでなければならないものでもある。
 ところがこの「記述による評価」を読んでみると、一名の真っ当で手厳しい批判はあるものの、意外と好評だったようである。その第一の要因は、しかし、履修者数(31)に対して回答数(10)が圧倒的に少ない、すなわち欠席者が多いというところにあるだろう。私の講義を面白がり出席し続けた受講者のみが回答しているから、文面的にはさほど悪くない結果となったにすぎない。
 とはいえ、もうひとつ言えることもあるだろう。それは、美術界においてさえ難解として敬遠されがちな立ち位置の私の講義に、僅かではあっても一定の受講者がついてきてくれ、さらには積極的に関わってくれたことだ。それはこの「記述による評価」の文面からだけではなく、公開可能性を前提に私が受講者に課したレポート(=立会記) http://aloalo.co.jp/nakazawa/2013/08r01j.html からもみてとれる。

改善に向けた今後の方針

 芸術の本質は教育とは相容れないという私の信条については、初回講義時にしっかりと理由を話し、その後も「人生のための芸術ではない」「芸術のための芸術である」という本質論に置換しつつ繰り返した。しかしそれでもそのことを理解できない、または理解したくない受講者(=立会人)は少なくなかったようだ。同様の事態は、しかし、本講や本学に限らない。広く一般においても、あるいは美術界においてさえ、「芸術のための芸術」の側は常に悪役として糾弾される。また、そうでなければならないものでもある。
 「授業評価」と「記述による評価」からは出席者の少なさがみてとれ、それは公開可能性を前提に私が受講者に課したレポート(=立会記) http://aloalo.co.jp/nakazawa/2013/08r01j.html の提出者の少なさにも共通する。例外的に「記述による評価」における一名からの真っ当で手厳しい批判や、提出されたレポートでの少数の同様の批評があったが、声を上げない欠席者や非提出者の多くも、その根底に「芸術のための芸術」に対する違和があったのではないかと想像する。
 「人生のための芸術」か「芸術のための芸術」かは解決不能の問題だが、回避はできる。「芸術のための芸術」の悪役ぶりを、シラバスの段階で露呈しておくことだ。私は今回かなりそれをおこなったつもりだったが、もっとあからさまに警告しておいてもよかったかもしれない。


参考

講義<「方法」と「新・方法」> http://aloalo.co.jp/nakazawa/2013/08r02j.html
シラバス http://aloalo.co.jp/nakazawa/2013/08r03j.html
機関誌「新・方法」第33号 http://7x7whitebell.net/new-method/bulletin/b033_j.html



2013-10-14
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