「新・方法」第15号
寄稿と作品からなるEメール機関誌「新・方法」第15号をお届けします。寄稿者は、本誌8号にて寄稿頂き、二度目の登場となる田中翼さんです。今回は新・方法主義第二宣言について寄稿をお願いいたしました。
(参考) http://7x7whitebell.net/new-method/manifesto2_j.html
[寄稿]
同語反復の新用法
田中翼(「新・方法」第15号寄稿者)
新・方法のマニフェストには内容らしきものが見当たらない。特に第二宣言では「AはAである」という同語反復(トートロジー)のみからなり、無意味が徹底されている。日常会話や文学表現での同語反復では暗意が含まれているものだが、それを見いだす事も筆者にはできなかった。このようなマニフェストが何故わざわざ出されたのだろうか?
旧・方法主義のマニフェストにおいては、自由の負の側面としての「放縦」が批判対象とされており、それに対抗して、同語反復(無意味)を自らに課す「禁欲と戒律」が説かれた。その固執性は教条主義的にも映る程だったが、新・方法にはそうした印象はないどころか、旧・方法主義の敵であったはずの自由を満喫しているかのようだ(新・方法の作品「海水浴」を参照)。
そこで筆者は、新・方法主義が、旧・方法主義と同じ自由という主題の別展開としての「自由を肯定する非教条主義的な運動」であるという仮説を立ててみた。するとそれは当然マニフェストに盛り込まれるべきものだ。ところが、自由や非教条性というものは、実はマニフェストの拘束力とは相容れない。というのも、自由を主張したとたん「自由でなければならない」という拘束が発生し、非教条性を主張したとたん「教条を排する」という教条が発生し、いずれも自己矛盾で挫折してしまうからだ。そこで、これらの矛盾への対処法が必要になる。それこそが同語反復だと解釈できないか。つまり、同語反復による無内容化によって、マニフェストの拘束性からの自由が実現し、教条の無い「主義」が成立するということである。
(参考) 新・方法「海水浴」 http://7x7whitebell.net/new-method/sea_j.html
[新・方法主義者のウェブ作品]
- 平間貴大
「噴水(泉)」は、マルセル・デュシャンが制作した作品である
http://hrmtkhr.web.fc2.com/new-method/015_j.html
「噴水(泉)」は1917年にフランスの美術家マルセル・デュシャン(1887-1968)によって制作された。
- 馬場省吾
昇順へのソート 第七番「シェルソート」
http://7x7whitebell.net/new-method/shogobaba/015_j.html
シェルソートは、挿入ソートの改良版である。シェルソートの方法はコンピュータの発明以後に考案され、また、コンピュータを使用することが前提のソートである。
- 中ザワヒデキ
ソースと実行第七八 - 八一番
http://aloalo.co.jp/nakazawa/newmethod/b15/j.html
今回も共通のXHTML文書、相異なるスタイルシートがこれら四作に用いられている。XHTML文書は、一種あたり100個の同一のボックスを四種、すなわち400個のボックスを生成するよう記述されている。スタイルシートは、背景と四種のボックスを規定する25個の数値に、10から250までの10置きの整数を規則的に記入することで記述されている。見え方はウィンドー幅と倍率の兼ね合いや、日本語か英語かの言語仕様によって変化する。
[お知らせ]
- 「新・方法」はウェブサイトを更新しました。 http://7x7whitebell.net/new-method/
- 平間貴大はウェブサイトを更新しました。 http://hrmtkhr.web.fc2.com/
- 馬場省吾はウェブサイトを更新しました。 http://7x7whitebell.net/
- 中ザワヒデキはウェブサイトを更新しました。 http://aloalo.co.jp/nakazawa/
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[編集後記]
新年明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。年末になりますが、先日初めてタンザニア料理を食べました。シナモン、カルダモン、クミンなどのスパイスと一緒に炊き込んだピラウというお米料理が香り豊かで美味でした。機会があったら是非みなさんも召し上がってみてください。 (皆藤)
発行人
平間貴大 @qwertyu1357
馬場省吾 @shogobaba
中ザワヒデキ @nakaZAWAHIDEKI
編集人
皆藤将 @kaido1900
機関誌「新・方法」第15号 日本語版
2012年1月4日発行
2012-01-04
- 平間貴大、馬場省吾とともに、日本語話者と英語話者に上記日本語メールと別記英語メールを両方とも同報配信。
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