1996年04月のまるちめ日記(96.04.01〜96.04.30)

96.04.01(月)
エイプリルフール。今日は会社設立4周年記念だが大岡はおなかこわしてて休み。日中はずっと「太陽」誌アート欄レビュー書き(レクイエム−榎倉康二と33人の作家−)。もとみやはどうにかやっと印種ホームページの立ち上げに成功。"Welcome to Rabbit Project Room"なるページをhttp://shrine.cyber.ad.jp/~kaorumに。もちろんデジタロで開催中個展との関連のページで、EVA-2号が見た会場個展客の映像が中心。夜は会社設立4周年記念ってわけで一同でアスク社天谷社長からいただいた鰻をいただく。大岡には今度のもとみや個展終了打ち上げの際にたらふく食べていただきましょう。

96.04.02(火)
大岡は治って出社してきたので、昨日やるはずだった商品会議。次のフロッケ展3に向けての議題中心。午後キーマガ松前君のページのイラスト。担当の花島さんはこの号を最後に転職だそうでおつかれさま。夕刻やっと太陽誌レビュー仕上がり入稿。先見ゼミ新学期の各種設定。

96.04.03(水)
明日会計士さんに来ていただくので領収証やら請求書やらの整理を終日。仕事をしたのに未払いのところが何件かあったりするので、催促のFAX等。E-CAFEで働いてもいたつかのがイーサネット関連の設定を終えてくれて、これだとデータのやりとりも速そうだし、また、なんとか社中のマックが全台128Kでつながりそうってかんじ。

96.04.04(木)
会計士の近藤さんが朝いらっしゃる。ぱぐちょは人見知りせずに近藤さんの足の間から顔を出し、近藤さんに「おかしな顔だネ〜」と話しかけられる。夕方までずーっとデジネン続きのツールデザイン。夜クアトロにP-modelを見にゆく。途中の楽曲でmiburiなるまんましーんシステム登場。開発会社とタイアップのデモかしらなどとは一瞬思ったものの、平沢さんが使うととーてもステキで、ちょっとはずかしいのだけどそこが逆に平沢さんならではでよかったでしたね。昔の曲も沢山やってくれて、結構P-modelで育ってきたタワシとしてはいちいち懐かしくもありはずかしくもあり。16ビートテクノに乗せる平沢さんの民謡的2ビートメロを、Jテクノ界のバルトークと見立てる仮説を思い付く。帰社後、シジジーズのオマケフロッピはやはりフロッケ展3に間に合わせたいので少々の改変(クレジット関係とラストの仕様変更)を済ませ、当初目指していたフロッピ1枚組を諦めて2枚組のままで行くことにする。

96.04.05(金)
眼科後、横浜美術館での森村泰昌「女優になった私」展プレオープニングレセプション。最近の女優シリーズだが、ちょっとこうなると以前「美術史の娘」の頃に森村氏の作品に感じてた親近感(orリアリティ?)から遠くなってしまうかも? しかしそれにしてもものすごい膨大量&一点一点かなりの凝りよう。古風な映画館シミュインスタの中では新作映画も上映しており、しかしそちらはとても「関西」なノリ。会場を一通り回ったところで双ギャラリーの人に、「森村さんの個人的な資料としてのビデオ取材です」と言われ、「以前森村さんの作品は、ベラスケスの中に森村さん(彼)がいる、ではなく、ベラスケスの絵の中に『私』(中ザワ)がいるのだという風に鑑賞していたわけだったのだけど、今回はあまりそうは思えなかった」みたいな事を喋る。「森村さんが変わったからでしょうか中ザワさんが変わったからでしょうか?」と理由を聞かれて、「いや、以前の僕の見方が思い入れが強すぎて間違っていたのかもしれないですね」みたいに答えてしまったのだけど、でも後から思い返すと、やはり初期の売れ出したころの氏の作品は、やはり「私」で解釈しなきゃいけなかったような気もする。奈良の西田画廊の西田さんや京都の山下さん等、いろいろな久々の方と再会。

96.04.06(土)
先月のまるちめ日記入稿。デジタローグでの個展会期が明日までのもとみやから、プリントアウト資料が足りなくなったので持ってきてくれないかとのTELあり、ぱぐちょにごはんをあげてから車で出かける。ギャラリーにはほんの一瞬滞在しただけですぐ上野に向かって出かけ、案の定渋滞、18時半開演のところ5分遅刻して東京都文化会館に駆け込む。途中すごい人混みだと思ったら、これはみな上野公園の花見客なのね。たどり着いたのはずいぶん以前から予約してあったフォーサイス「エイドス・テロス」なのだが、たった5分の遅刻なのにもう4階の予約席への入場を断られ、1階のドア付近から立ち見しなければならないとのこと。しかし立ち見客の中ではほとんどタワシが先頭だったので、階段に腰掛けるとこれは逆に4階の末席よりいい位置かもしれない。3部からなる「エイドス・テロス」の第1部はゆえに1階から悠々と観ることが出来た。内容はとても面白く、何年か前に観たフォーサイスより断然今回の方が素晴らしく感じられる。ダンサー全体の動きが、ディレクターでアニメを作るようになって以来関心を抱き続けている「対位法としてのポリフォニー」の問題であるのはいいとして、さらに個々のダンサーの四肢の動きまでを眼中にに収めるとき、これはリゲティがマイクロポリフォニーという概念を使ってやろうとした事に相同な事態なのではないか。ストラビ「ミューズ」のシャッフルリミックスだという楽曲もなかなかいい。しかし4階から観た第2部は、語りの表現主義チック半裸の女性が、まあこゆのもいいんだろうがタワシはそれほど面白いとは思わず。第3部の始まる時になってやっとデジタローグからもとみやも遅れてやってきて、第3部もかなり面白かったけどやはり第1部が一番はつらつとしていて面白かったかしら? 終演後帰ろうとしたら、困った事に駐禁とられてる。今日なんて駐車場はどこもいっぱいだったのだ。前回駐禁がたまって免停になったのはたしか一年以上前なので大丈夫とは思うが、結局高くついてしまった。千駄木でラーメンを食べ帰社後、ストラビ「ミューズ」聴いても以前のイメージ同様それほど面白くなく、シャッフルリミックスが面白いってワケか。

96.04.07(日)
試みにイーサ接続で印種に入りながら仕事。しばらく見てなかったうちにアルトキのホームページもだいぶ模様替えしたようだ。128K印種からのタイガーアクセスって、超速くて驚く。まるで自分のハードディスクみたい。シジジーズのオマケフロッピのジャケとREAD MEの文面を考える。冷水さんとTELし、以前タワシが半分冗談・半分本気で勧めた「現音のド真ん中路線」はやっぱイヤで、小室哲哉みたく売れたいなどと、相変わらず冷水さんらしいミーハー発想健在の御様子。ならば「微分音フォーク」なんかどぉお? フォーサイスはNHKでもやってて、「コンピュータを使用」とかの言い回しはデータベース程度の使い方だと知り、さもありなん。もとみやは今日で個展終了。ぱぐちょはどうやら「待て」がわかってきた様子。だいぶ大きく重くなりました。

96.04.08(月)
つかの・大岡の本日の仕事を書き置きしてアロアロ始業前に社を出て枝先生を訪ね、原口健一郎氏のHBでの個展に立ち寄って帰社。モンキーまつのきさんがかんでる浦安のマルチメディア専門学校の仕事で、若い人向けのコメント。以前ヘアチェンジ2.0で作った長髪の顔写真とともにNIF入稿。この写真をポートレートとして使える機会がやっと来て嬉しい。フロッケ3に出すもろもろの納品準備の後、新商品であるポストカードの組分けの設定をつかのに残業してもらいながら行う。7枚組500円のセットを4個作ることにする。売れるといいのだが。

96.04.09(火)
中ザワ以外のみなは朝からもとみやの個展の搬出作業。タワシはポストカード新セット用のペーパーやらラベルづくりやら、朝パソのイラストやら。デジタローグの丸尾さんが搬出作業の最後でぎっくり腰になってしまったとのこと。以前タワシがぎっくり腰でお世話になった恵比寿の病院にまたもお世話になったとか。お大事にです&おつかれさま>丸尾様。夜は個展オツカレってことでみなで経堂の美登利寿司で打上。丸尾さんを送っててもとみやは少々遅刻。そしてその後アロアロではまったく初めてな事態なことに、カラオケとかゆーものなどに行って、前田の努力でタワシら取締役連の大変うとい新しい流行りの歌(esp.小室哲哉)を聞かせてもらい、また大岡が大変に歌が上手いことを知り、つかのもカラオケでは声がとてもかわいい高い声に変わる事などを知る。医者時代には付き合いで時々してたカラオケだが(といってもカラオケルームってのは当時は無かった)、なるほど会社では知り得ない職場の人間の別の面が見れるものなのれある。24時近くまでハマリきり、これで明日から万が一金田一ってわけ? また是非やりましょう。社に戻るとみちきん氏よりヘアマスコットのフロッピがドアノブ納品されている。

96.04.10(水)
ぱぐちょはやっとちょっとしっぽを振ることができるようになった様子。鳩よ!誌イラスト。澤田さんの仕事続き。イラストファイルの返却に桜井さんいらっしゃる。「舞踏花伝」コメント書き。夜、日記を書いてる最中に、前より調子悪かったぱわぶく520の蝶番部分が、ついに大破。Rabbit Projectのように内臓モロダシで、こんな壊れ方見たこと無い。

96.04.11(木)
昨晩大破したぱわぶくは今夕つかのに修理に持ってってもらうことにして一応バックアップ。抽象怪獣ディペイズマン(仮)の仕事関係で、超ラム積んだPowerMac 8500/120届く。タワシの16MBラムのPowerMac6100/60だとやっぱ仕事に差し支えるでしょうって生類憐れみの令してくださったのだ。しかし本体だけなのでキーボードとモニタはどうしようか。モニタはアプティバのを使えばいいかな? フラミンゴスタジオからの仕事で7月のカレンダーでアソベンバーとかゆーものの雑誌イラストを仕上げてから、恵比寿ガーデンプレースにある東京都写真美術館にて「もうひとつの写真」展。同館は新装開館から一年以上たってるとゆーのに、伺うのはなんと今回が初めて。特に期待して行ったわけではなかったのだが、ヴィヤ・セルマンとゆ人の、写真かと思ってたら絵だったという基地が維持観た作品など、結構よかったのではないか? 三輪美津子も面白いし、あとベルナール・ボルジョーとゆ人は作品よりも、「ファン・エイクが『ここにあり』と絵に描き込まねばならなかった理由」などを写真との差異からの観点で述べてた口上が面白かった。キュレーションは以前御世話になった学芸員の平方氏。3Fの常設展を足早に見てから(時間あったらゆっくり見たかった!)、B1Fの映像工夫館にやっとたどり着く。予想してたよりずっと大がかりな場所で、展示はスミソニアン博物館的なノリがあって結構イイのでは? 「3D - BEYOND THE STEREOGRAPHY」とゆ3Dに関する展示なのだが、93年にタワシが制作して同館に納品したレンチキュラー作品「浮かぶ顔」が参考例として1点展示されている。これは夏過ぎまで展示してあるそうなので、そして夏頃の第2部ではもっと点数多く出してくれるらしいので、よかったらご覧ください>読者様。ここも長居する時間なく、昨年秋にも行った近くのシャララ・スタジオで、ホイチョイのまたラジオ出演のための録音。MoMA2展でアートの話題ってことなのだろうけどMoMA展は1も2もどっちも行ってないのだ。でもまあゴーギャンの話とか絵の値段のこと(骨董と不可分)とか、あるいはキュレーションとゆーこととかいろいろ沢山喋って楽しい。なにか最近の仕事はと聞かれてデジネンについても喋ると、とても面白がって聞いてくれて「ペイント/ドロー」の言葉でだいぶ理解してくれた様子。ホイチョイ馬場さんとのしゃべくりはいつも楽しいっすね。

96.04.12(金)
10年くらい使っていてついにピッチが揺れるようになって壊れてしまったテープデッキを買い換えようと、眼科の後で渋谷ビックカメラに寄るも、やはりdbx機能が捨て難くて(以前dbxで録音した現音テープが多かったのだ)、dbxを全然搭載してない今の機械を買う気にちょっとなれない。もう一度修理に出してみるか。帰社するといろいろな連絡事項やら電話やら。抽象怪獣ディペイズマン(仮)の進行状況確認の電話がついにかかってきてしまった。バイト勢が帰った後、やはりアプティバのモニタをマック用に使うコネクタなど待ってられずに商品部用cxのモニタを持ってきて8500につなげ、商品部用Quadraに延びてたイーサを8500につなぎ換え、いろいろ実験してわかった事は、このままでは8500から2台のディスプレイを出せないってこと。今まで持ってたNuBUSのビデオカードって残念ながらパワマクには突き刺せないのれすね。あとなぜだかイーサでファイル共有が8500→6100はできるのに6100→8500が出来なくて、これは困った。さらに「サウンド&ディスプレイ」とゆ、今回初めてお目にかかったコンパネ書類で8500からビデオ出力してみたところ、やけに小さいサイズの設定もできるようで面白がってやってみたら、そのサイズ内でそのコンパネのサイズ設定のボタンに2度と触ることができなくなってしまった。この復旧には大変時間がかかってしまい、なにしろP-RAMクリアが効かないのである。コンパネごとインストールしなおしたってダメで、さらに初期設定をすべてクリアしP-RAMクリアしながら他のディスクで立ち上げたってダメで、そんなよーな試行錯誤を何十回と繰り返して意地と執念で直してしまう。モニタ関係のコンパネなどは、もちょっとそゆ事に気遣ってデザイン考えてほしいあるね。

96.04.13(土)
なんだか昨日今日と寒い。おかげでまだ桜が長持ってゐる。昨日解決できなかったイーサのファイル共有は見落としていた機能拡張書類のせいとわかる。タイガーのメンテ等もろもろのたまった雑用。昨日予防注射を打たれて餌の種類もちょっと変わったぱぐちょは、冷えもあってか吐いてしまったが、ぜんぜん元気。冷水さんよりTELありハリー・パーチの新譜とワグナーのCD買って聴いてハマッてるとのことで、この前の小室哲哉路線はいったいどこへやら? 夜は抽象怪獣ディペイズマン(仮)の仕事で、かつてアスクの合宿でメディアマジック井上氏に教えていただいた事を思い出しつつ、ディレクターで子ウィンドーを作って制御する方法を研究。何のことはなくうまく行きそう。それにしても困っているのがここ1カ月くらい懸案の、この作品の名称問題。昨日いただいた電話だと、もうそろそろ名称の希望は決定しなければならないとのこと。以前自分で思い付いた「抽象怪獣ディペイズマン」だが、その後考えを進めるうちにどうも怪獣でもなさそうな気がしてきて、さらにディペイズマンなどという舶来の高級芸術用語なんかイマイチかもしれないし。……と思いつつも、このネーミングがやはりいいや、という結論に至って確かこの日は就寝したのでした。

96.04.14(日)
ぱぐちょは最近階段を1段だけ上ってびゃうびゃう鳴いてたりしてたのだが、今日はじめて全段登頂に成功。午後には駆け上る事さえできるようになる。しかし下りが全然出来ないみたいで、これでは前へ進むことしかできないモダニズム犬だ。抽象怪獣ディペイズマン(仮)の本体データの作成に取りかかる。思ってたより簡単で、しかも面白くなりそう。それにしてもネーミングはどうしようか? 夜中になってから「空即是色インタラクティブ」とゆネーミングを思い付く。試みに題字を描いてオープニング画面作ってみると、悪くないかもしれない。このネーミングなら最近ずっと気になってきていた「和もの問題」的意味あいも込められそうだ。未明からSoundEdit16作業まで始めてしまい、結局明け方まで仕事。

96.04.15(月)
朝の会議後、「1.名称は『空即是色インタラクティブ』でどうか? 2.もう途中までのサワリならお見せできます」との連絡を名古屋日展と設計工場さんに入れる。8500用PCIビデオカードは名古屋では入手に時間がかかるそうで、こちらで揃える事にする。朝パソの4コマイラストは「マタマタ」の絵。27日の岸野氏のオールナイト・ライブ用パンフに寄せる一文は、結局タワシが記憶している彼の言葉を沢山羅列して済ましてしまった。V-JUMP誌イラスト。……などしてたら24時を回ってしまったが、それからやっと空即是色作業の続き。具体的に「言葉ボタン」を押すと色が反転するように仕向けるLINGO書きで、SoundBusyではどうも上手く行かないだとか、いろいろ試行錯誤しててやっと解決。ところで思うのだが、LINGO書きしてて行き当たった問題って、未解決の時は他の仕事しててもずっと気になりっぱなしだが、解決したときの喜びはひとしおなのだ。このよな事って10年前にアナログの絵描いてた時や、バカCG始めた最初期には感じてたような充実感なのだが、最近はイラスト描いてても全然感じてない事。ほんとはイラストとゆーか、2次元の絵でもそゆプログラミング的な課題を自らに設定して作品を作っていきたいのだが……。朝7時近くまで作業。

96.04.16(火)
以前弦人さんがカラーネンドをあしらって作ってくれた広告を念頭に置きつつ、デジネンのアイコン用ビジュアル案を作成。15時半にMacUserさんとアスク天谷さん見えて、MacUser誌のデジネンの取材。アスクで最近デジネン部隊として働いてる小西さんとゆ方が作ったスタンプをいただくが、サンドイッチや身のあるスイカだの、「中が見える」ってことがとってもわかりやすい好作品。選択ツールで選んでカットって、ほんとに包丁で切り分ける感じだ。MacUserの関西弁の担当氏相手に、話したいことは山々川々。特に世界の小ささの利点の説明で、「スライスモードで、320面もいっぺんに並んだら大変でしょう? 32面くらいでちょうどよいのです」との言い回しがわかりやすかった様子。MacUserさんが帰られた後、天谷さんよりPiPPiN版キッズボックス完成品を何個かいただく。だいぶ以前に送っていただいてたはずなのだが、なんと宅配便が配達途中でなくしてしまったとの事だ。それにしても驚いたのは天谷嬢の「犬慣れ」のサマである。ぱぐちょとあっとゆーまに「一心同体」「なかま」となってしまっていて、さすが14年も犬暮らししてるだけあられます。犬をからかうタイミングも動きも抜群の正確さで、見ていて感動すら覚える。天谷嬢は帰られ、17時過ぎに今度は本田さんがいらしてもろもろのデジネンの打ち合わせ。具体的には(1)段取りスケジュールと(2)「3Dと呼ぼう問題」と、(3)パッケージデザインの話。(2)「3Dと呼ぼう問題」とは、以前みなで話し合って、従来の3Dツールとこのデジネンはほんとに別物であるため、3Dの枠組みに入れると製品意義が薄れてしまうのではないかって事で、むしろ「3Dとは呼ばずに3次元と呼ぶ」と決めていた事に関する問題。マックエキスポではこの方針でデモしたのでした。だけどすっごくアスク社内ではその後激論が戦わされたようで、すなわちマーケット的にはすでに3Dツールを使いこなしている人達よりも、まだ3Dツールに触ったこともない人の方が圧倒的に多数なわけで、そゆ人達にとってはむしろこちらのデジタルネンドこそ真正の3Dなのではないかって事。これ、タワシも最近色々な人に説明するとき気になってた事なんですよね〜。3Dと呼ばないとなると、3Dのことをよく知らない人達にまで、最初から「これは3Dでなく……」とガッカリさせなければならず、説明や認識をややこしくしてしまうだけかもしれない。本田さんによれば一般ユーザーがパソコン買って「次にやりたい事」はみなインターネットと3Dなのだとのことで、折角のその状況で「3Dでない」などと言うのはもったいないってわけ。反対意見側の言い分は「やはりもう3Dとゆジャンルは定着していて、その従来型3Dを期待してこのデジネン見ると、なんだチガウじゃないかって事になる」とのことで、マックエキスポのようにオタクが集まるところとかパワーユーザーうちではやはりその通りで(今思ったけど最近パワーユーザーって単語、あまり聞かれなくなった気がする。パワーマック出て以降か?)、タワシもこちらの「3Dとは呼ばない派」だったのだけれど、いや、3Dと呼ぶことにしましょうと、本田姉御に従って今日から方針変えます。そしてその後は(3)パッケージデザインの話。弦人さんにお願いする予定だったのだが、サルブルの持ち味のカッチリ繊細さより、むしろデジネンのどちらかとゆーと粗雑なパワーさを前面に出すデザインに変えたいとの本田さんの希望ってわけで、サルブルさんにもどちらでもいいと言ってもらっているとのこと。なるほど、本田さんの心意気もわかります。で、どこか希望のデザイナーとかADとかないですかと聞かれて、おそれ多いがフラミンゴさんにお願いできたらと咄嗟に希望を伝える。そういえばアスクさんも湯村さんのイラストでいくつか商品出してるし、イメージ的にもちょうどいいかとタワシは盛り上がったのだが、本田さんはフラミンゴが湯村さん達自身以外のイラストを使ったデザインもやるという事を知らないらしく、そういえばその辺タワシも詳しくはどんなかんじか知らないので、この話は今後どう転がるのかしら? 打ち合わせ後はDICTIONARYの関連で「アンダーグラウンド」なる映画を見に渋谷へ。なんとアスク講談社配給で、さっき本田さんとの会話で名前が出てたのだがタワシが「知らないですね〜」などと言ってたものだった(^^;)。

以下、「3Dと呼ぼう問題」について、後からタイガーにアップしたメッセージよりペースト。
>>で、また話は転じて、かつて
「決して3Dとは呼んでほしくない、なぜなら従来の3Dツールとまったく異なるものだから」
とここにも書き、各誌のインタビューでもそう答えてきましたが、ここへ来てその方針改め、
「3Dツールです!」
と名乗ることにしました。
むしろ3年後、5年後、10年後には、こちらのデジネンタイプのビットマップ3Dこそが「いわゆる3D」と呼ばれる事になるであろうことを確信するからです。
また、今まで3Dツールなるものを触ったことの無い人にとっては、こちらこそ「3D」と認識していただいてよいものだから。
デジネン後は、3Dという言葉が指し示すところの意味も変わるでしょう。と、本気で思ってます。<<

96.04.17(水)
昨日結局途中までしか解決できてなかった、8500から2台のディスプレイに出す際にトラブッてしまっていた件は、機能拡張のA-ROSEが壊れてたためと判明。しかしそんな調整に時間かけてたらお昼になってしまい、「空窓」に白と黒のクリアボタンと塗りつぶすタイプのボタンを大慌てで付け足して、14時から、いらしていただいた設計工場の方に「空即是色」のデモンストレーション。とりあえずはこんなかんじで大丈夫だったようだ。しかしプリント出力やテキスト出力も含めて課題もまだまだ残っている。夜はもとみやがさるすべり大井さんから借りてきた少女漫画オタク番組のビデオなど見る。

96.04.18(木)
集英社から今度出る椹木野衣氏の評論集の内容でバカCGに触れるところがあるため、かつての「野球」2枚組の図版を貸し出す事とする。デジネンのロゴ案取りあえず作り送付。4月8日ヴァージョンのNendoアプリケーションの機能確認。仕様その他の最終チェック。19時半より新宿PIT INNにてティポの3rd CD発売記念ライブ。今回は何とキーボードの水上さんが急病とのことで、キーボードレスとゆ珍しいティポを見るはめとなる。3rdアルバムは非売品をシステマの方からいただき、何かしらの文章をものすこととなる。

96.04.19(金)
つかのにはまた秋葉原までフロッピその他の買いだしに行ってもらい、タワシは渋谷での眼科後、WAD'Sにてポストカードの納品。帰社後、今度ゲスト出演するかもしれないNHK「ソリトン」でのインディーズ特集の打ち合わせで制作会社の方がいらっしゃる。しかし何回か電話で応対した別の担当氏に送った資料を今日来た彼女はほとんど見ておらず、そのくせタワシには番組最中に会場でフロッピを実際に作ってほしいなどと言われ、それは別の担当氏にも「物理的には可能だが、そうすることの必然をタワシが感じない限り、見せ物ショー的な扱われ方はいやだ」と言っておいたはずのことなのだ。話していても番組の制作に対する志もはっきりしないし、出版社の編集者ならもっとこちらをその気にさせてくれる意気込みというのがあるのに、どうしてテレビの人ってこうはっきりしない人が多いのだろう。もちろん出版社だからといって例外もあり、逆にテレビだからといっても例外もあるのだけど。打ち合わせの後、イーサ接続がトラブッていたもとみやのマックはタワシが見たら一発で治り、さらにISISとゆ今まで使っていた社内LANも最近なぜかトラブっていたのが再び使えるようになる。さらにイーサ経由の場合コマンドがわからなくて接続できてなかったTelNetが、これもタワシがカンでcliと入れたら使えるようになり、今日は機械と相性のいい日。だったのだろうか?

96.04.20(土)
ここに来てから一ケ月になるけど随分と大きく重くなったぱぐちょ。昨晩までは何度やっても「お手」がダメだったのに今朝は最初から「お手」に成功。完全に覚えたようで嬉しい。ペット自慢する人の気持ちがわかるようになってしまた っ(^^;)。ところが隣の入谷さん(大家さん代理)がペット飼育の件で相談にやっていらっしゃる。以前から連絡しておいたものなのだったが、結局犬用家賃を取られてしまった。ま、「応相談」だったので仕方ないのだけど。その後タイガーのメンテし、たまった日記を書き、ぱぐちょを初シャンプーし、夜はN響の「春祭」見てたらむしろその後のストラビ自身がN響を指揮した昔の「火の鳥」の映像が出てきて、こちらの方が貴重な映像。「ソリトン」初めてちゃんと見てみる。

96.04.21(日)
6100と8500の2台体制で机の上が錯綜してるので、はっきりと区別し整理。すなわち6100本体を机上からどかして下の方に置き、2台のモニタの解像度にそんなに差が出ないように設定し、2台のモニタとキーボードを完全に左右に置き分ける。間にはLingoの本など置く。例の5つ足の姿勢矯正椅子だと2台間の移動も快適也。ぱぐちょは元気さあり余って、違う場所にわざとうんちするなど日に3、4、5回は悪さをしてタワシ達に叱られてるわけで、そんなぱぐちょを見てるとタワシは「体罰賛成派」に回りたいと思う。空即是色でオプション機能として提案したプリントアウトをタワシの考え通りに実現するには、Trailを使ってるのでどーやらDirectorのLingoだけではダメそう。しかしAppleScriptを使えば何とかなりそーでもある。

96.04.22(月)
本日4月22日午後2時22分から岡崎球子画廊にて松澤宥の個展「量子芸術宣言・四」第2部「地球よりはるか遠く」のパフォーマンス。いや、正確には数年前からパフォーマンスとという言葉は使わずにPresent Dayと称しているとのこと。つかのと出かけ、しっかり拝見。超面白い。タワシはこんなに松澤ハマリングしてるのに実は彼のパフォ見るの初めてなのだが、1年前目黒区立美術館でのパフォを見たつかのは今回の方がずっと面白いと言ってる。今回はウンモ(UMMO)という十数光年だか離れた異星人のための芸術とやらで、ま、電波系ではあるかもしれないけれど、かつて諏訪湖に見せるための展覧会をやって以来の非人間対象の展覧でしょうかと尋ねたところ、その通りとのこと。これは貴重なものに立ち会えたわけだ。なにしろ対宇宙芸術という概念は、いわゆる「オブジェを消せ」の概念芸術発生以前からの松澤芸術の出発点なのだから。太陽誌のアート展レビューはこれでいく事に決定。パフォ後はそのウンモ星人とやらについての書物を出版した徳間の編集者が来るのを待っていたりしたのだが、なかなか現れないので退出する事にする。そうそう、太陽誌だの文学界だのに書かせていただいたMOTの展覧会担当の学芸員、野口さんとゆ方と初対面。
 岡崎球子画廊を出たところにある「ことばのギャラリー」とゆところが、怪しそうだが気になったので興味本位に入ってみたら、なんと岡本太郎その他の有名人の言葉が沢山額装されて陳列されており、しかも安いのだが、なんか変! と思ったら、有名人の言葉を別のいろいろな人が書いてただけでした。しかも「表示価格は額のみの値段」(^^;)。その帰りのエレベーター内では甲高い声出した後、怪しげな手書きウチワを披露してくれる電波おじさんに出会い、まだウンモ圏内なのかしらん。早速ウンモの本買おうと原宿ラフォーレ行ったら山下書店がだいぶ規模縮小していてガッカリ。しかしラフォーレミュージアムにて横尾忠則展が開催されてる事を知り、折角なので見ていく。会場に入ってすぐは、2年前の前回ラフォーレでやった時の方が面白かったかのではないかと感じながら見ていたが、途中で丸い穴の空いた仕切をくぐらされるあたりから、絵の波動がだんだんとこちらに伝播されてきて、そのうちどれもとても素晴らしく見えてきてしまう。マタマタのような亀が随所に描かれている。「天才は忘れた頃にやって狂う」等々、結構サイコでかなり良かったのでは。
 帰社したら「ソリトン」担当の制作会社よりTELあり、タワシが昨日確認事項としてFAXで書き送っておいた「会場でのフロッピタイトル制作は、見せ物ではないのでやはり控えさせてほしい」云々の文面を見ましたとのことで、ならば断るとのこと。しかも余計なことに、「ゲストとしての出演枠はもう以前から決定しているので」などと言われ、タワシはゲストとして出演してほしいとあなた達から聞いていたはずだがと言うと、「会場でフロッピ制作をするということでのゲストです」などと言う。タワシにとっては自主制作にかける「マイ・モダニズム」とゆ意味あいや、フロッピメディアに関するパッケージ論を喋ることにしか興味がないとは、何回も電話口で説明したし、次々と送らされたかなりの量のFAX資料を見ても明らかだろうというのに、結局タワシには単に大道芸しか期待されてなかったってわけですね。
 8500の内蔵の2GBのハードディスクを10個のパーティションに切る作業。「空即是色」とゆStartUp Disk以外はすべて「UMMO」とネーミング。

96.04.23(火)
キーマガ松前君のページのイラスト。AppleScript対応のアプリケーションがほとんどうちに無いことと、 「こまんどシフト3」が AppleScriptでFinderに書き込めないのがわかり対応策をひねもす考えるfor空即是色仕事。それにしても今日はよく晴れ暑い。今まで寒い春だっただけに。ってわけで、夜は前田・もとみやと砧公園の世田谷区民温水プールで泳ぐ。これはいい運動不足解消かも。しかし潜水も水中逆立ちも監視員に叱られるのでまともに泳ぐしかなく、結構疲れる。

96.04.24(水)
ずーっと空即是色仕事。こまんどシフト3はあきらめ、Snapzとゆコンパネ書類に頼ることにし、ところが今度はAppleScript編集プログラムでアプリケーションを作るのに手間取り(バグなのだろーか?)、またDirectorのプロジェクターでのバグに悩まされる。一応21時までに途中段階を納品せねばならなかったところを延ばしてもらい、徹夜。

96.04.25(木)
朝7時になんとか空即是色の「基本デモ・プリントアウト対応α版」が完成して無事[*]キーのキーダウン1発でプリントアウトもできるようになる。10時半に近藤さんいらして先年度の決算状況聞き、いくつかの書類に判を押す。累積赤字が解消されたわけでは全然ないけど、昨年だけだとやっと初めて会社としては黒が出たとのこと。もとみやのPlastination CD-ROMの功績であろう。朝までかかった空即是色データは午後にNIFにて納品。夕刻、前田家で飼われている1才の大型犬の「まろ」が、前田御母様に連れられて来アロ。念願のまろとぱぐちょの初対面。まろはとても立派な犬で、玄関中がまろでいっぱいになる。ぱぐちょはとても喜んでるよーで、こんなに激しくしっぽ振るのは初めて。まろの顔くらいの大きさしかないのに、同じ犬族だという自覚がどーやらあるらC。パグの事ばかり考えてらしたとゆ前田御母様は、ぱぐちょを抱いてとても喜んでらっしゃいました。ぱぐちょ用骨型コーンおしゃぶりアリガトです。その後ハードディスク内の散らかったデータの大整理。

96.04.26(金)
眼科後タワレコにて松平頼則、廣瀬量平等購入。以前DIGITAL BOY誌でも「さるまん」文で御世話になった見富さんが、今度はタッチPC誌の取材でいらして、CG導入の頃の話などしてたら最近の話をする時間がなくなってしまった(よくあるパターン)。その後、笙の奏者でもあらせらるる田島和枝さんがぱぐちょを見にやってきて、ついでに印種で雅楽のページなど見て盛り上がる。一緒に演奏活動やってる人のページなど見て、ずっとパソコンなどは他人事と思っていたのだが随分親近感が涌いたとのこと。田島さんがマック導入したら、われわれがどんな事やってるか、やっとちょっとはわかってもらえるかしら?

96.04.27(土)
渋谷のアップリンクファクトリーで22時から「岸野雄一・オールナイトライブ」。彼にとってもオールナイトは初めて。「髭の未亡人」その他沢山の彼関係のものがまとめて見れる。特に松前のオケバックに初めて語り入れたとゆ宇宙ネタがおもぴろし。まただいぶ以前から噂で聞いていた映画「野球刑事ジャイガー」を初めて見たが、明け方になるとさすがに眠い。弦人氏やさゆりちゃん、関口&キノトリ氏、さらには江並さんも一瞬現れる。

96.04.28(日)
ぱぐちょ用に胴輪と首輪と犬紐を購入。タイガーメンテ。夜テレビで映画「アラビアの炉連酢」なぞ、エデンの仕事でもとみや部門に来てた林さんも一緒に見たりなど。

96.04.29(月)
マニアックで散髪後もとみやと渋谷行き、パルコブックセンターにてUMMOの本を2冊入手。その後BEAMSにて弟の結婚式出席用に服などの買い物後、松原のストア大関にて食品等を買い出し。今年は大型連休が前半・後半に分断されてるが、今日までの前半はすべき仕事があまりはかどらず、これだと後半苦しそう。

96.04.30(火)
朝5時に起きて「太陽」誌アート欄レビュー書き着手。今日締めきりというのにすっかり遅くなってしまった。夜は先週に引き続いて前田も伴い砧公園区民プールにて一泳ぎ。25mプールだとビート板4枚浮かべて遊んでても監視員に叱られないのでいつか「みずぐも」にトライしよう。その後もレビュー書きをずーっとやり続け、結局仕上がらず。





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