方法主義第二宣言

 再び確認しよう。二十世紀の諸学諸芸を貫くのは同語反復であった。しかし同語反復の絶対は、瞬間においてのみ語られなければならない。同語反復が歴史の反復、すなわちアイロニーを召還することには断じて抵抗しなければならない。
 方法主義は未だ還元主義の範疇にある。今なお言語と論理の権能に留まることを我々は受け容れよう。絶対の凡庸に耐え、衰弱へと向かえ。
 方法主義は禁欲趣味に陥ってはならない。戒律と死は、快楽と愛と生を肯定するために存在する。
 方法主義は同語反復にさざめく無数の差異を聞き取るためだけに有効である。差異を語るな。それは方法が潰える地点なのだから。
 我々は歴史を学習する。必要なのはしかし歴史を忘却する術なのだ。固有の歴史を捨てよ。歴史に撃たれよ。我々は今、二十世紀を終えたのだ。

補遺一
体裁としての「方法主義第二宣言」は、内容としては「反方法主義注釈」である。方法主義(第一)宣言と同様、起草立会者は必ずしも賛同者とは限らない。

補遺二
本宣言に対する賛同者、非賛同者を問わず、自己の責任によって本宣言は転送してよい。

西暦二〇〇一年一月一日

起草 足立智美(音楽家)
起草立会 中ザワヒデキ(美術家)
起草立会 松井 茂(詩人)


to english
back