ライブ・パフォーマンス告知チラシ
テキスト

 通常、画家は筆や鉛筆を手に持って絵を描く。だが芸術創造の場面においては、手の活動よりも、脳の活動自体のほうが、より重要で本質的なはずである。そこで私は頭に電極を取りつけ、脳の活動を自ら制御することによって、絵を描くことにした。医療の分野で「脳波」と呼ばれるその曲線は、美術の世界においては、手を介さずに脳が直接描いた「ドローイング」であるはずだ。
 もちろん、画家が鉛筆を手に持って引いた線がすべて作品というわけではない。厳しいデッサン修行の果てに、美しい線が引けてはじめて美術としての価値が生まれる。私も、脳波がすべてアートだと主張するつもりはない。府中市美術館公開制作室に一定期間引きこもり、厳しい脳波修行を自らに課す。標記の期日までに、脳で美しい線が引けるようにする。
 満を持して行われるライブ・パフォーマンスでは、脳で絵を描くまさにその現場にお立ち会いいただくことになる。仕上がった「線」が、ドローイング作品として、鑑賞者の審美眼に叶えば成功だ。   中ザワヒデキ

[脳波計] 日本光電工業株式会社 EEG-1714 (承認番号 21000BZZ00604000)
[電極配置] 国際脳波学会推奨標準方式 10/20法